知られざる日光

サクラを愛でに、奥日光まで足を運びたくなる五月。
日光を熟知する写真家・小杉国夫のやさしい眼差しが標高1000メートル超の春の息吹をとらえる。
出掛けよう、新緑がざわめかないうちに。

        花色の濃いオオヤマザクラ 熊窪付近

標高一〇〇〇mを超える奥日光、春の訪れは東京都心よりひと月以上遅れてやってくる。GWの連休が過ぎて五月中旬頃、中禅寺湖周辺でようやく桜が満開となる。(その年の気候によって、十日前後ずれることもある)

春を代表する花「サクラ(桜)」といえば、一般にはソメイヨシノ(染井吉野)がイメージされるが、日本に自生するサクラの代表種はヤマザクラ(山桜)である。日光の山中にも多くの自生サクラが見られるが、いろは坂より上部の奥日光では、オオヤマザクラ(大山桜)が自生している。このサクラは、エゾヤマザクラ、またはベニヤマザクラとも呼ばれ、北日本に多く自生し、ヤマザクラより花が大きく、色が濃いのが特徴である。ただし、山中に点々と咲く自生のサクラなので、公園に咲き誇るような華やかさはないが、自然の中で静かな春の息吹が感じられる。

さて、このサクラを現地で見て楽しむには、やはり歩くのが一番良い。おすすめは中禅寺湖北西岸の菖蒲ケ浜~千手ケ浜のハイキングコース。コース中に大木が所々で見られ、一本ごとに花色のピンクの濃淡、開花時期、枝ぶりなどが微妙に変化している。そして何より、周辺のロケーションが素晴らしく、紺碧に輝く広々とした湖面、男体山を代表する雄大な山並‥‥‥。それらの風景がサクラの花の美しさをより引き立てる。また、新緑にはまだ早いが、一番芽吹きの早いブナが、山の斜面に萌え黄色に輝いている。

快晴無風の湖畔に咲く 赤岩下付近

男体山を背景に咲く 先手ケ浜

いろは坂明知平付近

写真・文 = 小杉国夫
1956年栃木県生まれ。宇都宮大学農学部卒業、出版社勤務。90年よりフリーの写真家として関東、東北地方を主に風景を撮影。撮影のカメラは、ローライSL66、40mm、50mm、150mm、フジRVP

日光に行くには東武鉄道スペーシアが便利です。

 


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