季を遊ぶ

文=有吉玉青

夏の妖精たち

妖精は必ずしも愛らしいものではない

 

妖精を信じている、とまでは言わ ないが、いたらいいなとは思ってい る。また、たとえば止まっていた時計が何かのはずみに動き出したとき、それを妖精のしわざだと思う感性にあこがれる。もともと妖精は 自然現象が科学によって解明される以前、その原因と考えられていたが、北欧やイギリス北部の地には妖精伝説がたくさん残っていて、今でもふつうの会話の中に妖精が出てくることがあるらしい。

妖精といえば、まずピーター・パ ンの相棒、ティンカー・ベルを思い 出す。背中に小さな羽をつけ、自由自在に飛びまわるキュートな妖精。「ティンカー」が鋳掛け屋の意と知ったときは、妖精に職業があることにかなり驚いたが、最近、その比でなく驚いたことがある。

北欧に駐在していた人の話を聞いたところ、妖精は必ずしも愛らしいものではないというのだ!

それで 妖精の図鑑などを見てみると、確か に……。

あらためて思えば、妖精の「妖」は妖怪の妖。一字違うだけでずいぶんメージが違うが、 Fairyの訳語に 妖」の字を使ったからには、日本にも、まずは不気味なものとして入ってきたのだろうか。

(‥‥‥ 続きはVol.32をご覧ください)

ありよし たまお

 作家。東京生まれ。 早稲田大学哲学科、 東京大学美学藝術学 科卒業。ニューヨー ク大学大学院演劇 学科修了。1990年、 母・佐和子との日々を 綴った『身がわり』で坪田譲治文学賞受賞。 『ニューヨーク空間』『雛を包む』『車掌さん の恋』『風の牧場』『恋するフェルメール 37 作品への旅』『カムフラージュ』『美しき一日 の終わり』『ソボちゃん いちばん好きな人の こと』など多数の著書がある。

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