季を遊ぶ

文=有吉玉青

花見と齢

年をとって楽しむ春の到来

 

 

明るい陽射しを浴び、草が芽吹 き、花が咲く、うららかなよい季節 がやってきた。寒い冬が終わり、ようやくめぐってきた春に嬉しくなって、つらつらと書き始め、ふと、こんなことは子供のときには思わなかったなと思った。

たとえば桜の花が咲き、ああ、春 だなあと思う子供では、少なくとも 私はなかった。確かに始業式の頃に 咲いていたような気はするが、あたらしい学年の始まりに興奮していて、それどころではなかった。季節は私の外側で、自分とは関係なくまわっていたのである。

そんな子供が、いつのころからか 季節の変化を感じるようになり、こうして春の到来を歓ぶようになろうとは。われながら大人になったものだと思って、思い直した。子供のころは、季節にかかわらずいつでも元 気で楽しくて、冬は冬で寒くても平 気で外で遊んでいたから、春の訪れを待ちわびることがなかっただけの 話ではないか。

(‥‥続きはVol.31をご覧ください)

ありよし たまお

 作家。東京生まれ。 早稲田大学哲学科、 東京大学美学藝術学 科卒業。ニューヨー ク大学大学院演劇 学科修了。1990年、 母・佐和子との日々を 綴った『身がわり』で坪田譲治文学賞受賞。 『ニューヨーク空間』『雛を包む』『車掌さん の恋』『風の牧場』『恋するフェルメール 37 作品への旅』『カムフラージュ』『美しき一日 の終わり』『ソボちゃん いちばん好きな人の こと』など多数の著書がある。

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