「百歳現役」を信じる私が気づいたこと

文=加藤タキ

 

もったいない精神がついつい頭をもたげ

 

やぁ、参ったなぁ……。ムムム、私 の日頃の暮らし方を〝覗かれている?〟 と思ったほど、実は、この数年私が最優先なくてはならないテーマが「生前整 理ならぬ、日常の整理」。

真面目な話、多分私は100歳でまだ 現役。寿命は120歳と勝手に信じてい る。根拠?  特にはないけれど、長寿の DNAを継いでいることは間違いない。 そういう意味では、「生前整理」には少なくとも 30 年の猶予があると思っている ?!

現在 71 歳。寝だめ、爆睡はするが平均 睡眠時間は3~4時間。 50 年前に仕事を始めて以来、多忙な日々を過ごす。健康 だからこそと思うと、真にありがたい。

整理をしなくては、と毎日思いつつ、 気がつけばあっという間に1日ならぬ年が過ぎ去り、ヤレヤレとうつむいた気 持ちで新年を迎える。毎年その繰り返しで、いい加減、そんな自分に辟易する。

決してモノに執着しているわけではないが、「もったいない精神」が根強く、スーパーの袋や紙袋、花束をいただいた ときなどの包装紙やリボンなども大切に 〝二次使用〟する。やはり、戦後モノがな い時代に明治人の両親のもとに生まれ育ったことも影響しているのだろう。

とにもかくにもモノがどんどん増える。仕事上の書類や本類はもちろんの こと、衣類もとどまることなく増え続ける。職業柄、テレビ出演や雑誌などの取 材、講演、さまざまなタイプのパーティと、人さまの前に出ることが頻繁な私だ が、スタイリストをつけることなく全て自前なので、どうしても衣装が増えてしまう。なにせ 20 ~ 30 代の頃パリやローマ などで購入したファッション類を気に入っていて、いまだに着ている。当時のアクセサリーも大活用中。

 

明治生まれの母との二代にわたる 整理が私を待っている

 

ひと頃すごく太った私は運動に精を出 した。が、結局ジム通いに挫折。ある機 会に『Shall We Dance?』に 触発され、 67 歳半から本格的に社交ダンスを始めたら、筋肉がつき、体重・体脂 肪率も大幅に減り、体型がすっかり30 代に戻った。正直に言って、スリムになると装うことがより楽しくなり新しい服が 目に見えて増えた。そう、またモノが増 えた……。

42 歳で出産したので 40 代から 50 代前半 は子育て中心の生活。息子関連の写真や、 彼が創った作品、描いた絵、幼稚園の3年間ハロウィーンのときに私が徹夜して手作りした衣装など、想い出の品々が いっぱい。息子はもうすぐ 30 歳になると いうのにまだ保存してある!

加えて、 19 世紀に生まれた明治人の母 の持ち物、いまでは骨董品としても価値 があるだけでなく、二度と作れないよう な着物や帯、器類。そして戦前から国際 的に社会活動をし、戦後は初の女性国会 議員として 28 年間活躍。議員を引退したも、104歳の天寿をまっとうするまで現役で活動していた ので、貴重な資料が山ほど残っている。その母が残してくれた私が 10 代の頃描いた絵が出てきたのには、驚いた……。

この原稿を書いていたら、いま夫の声がした。

「お~い、コレ、どうにか処分てね」

見ると、ウッヒョー、衣類が 山積みされているではありませんか!   あぁ、どうしよう、遂に、彼は整理に着手した。参ったなぁ……。だって、もったい なくて捨てるわけにいかないから、貰ってもらう人を探したり、私がまず仕分けをしなくてはならない。ヤレヤレ……。

そうかぁ、この原稿は、タイミング的 に〝自分との闘いを促すチャンス〟なの かもしれない。母と私、二代約120年分の整理を息子に遺すわけにはいかな い。そうだッ、「生前整理」を始めよう!

かとうたき
コーディネーター。1945年東京生まれ。 米国報道誌を経てショービジネスの世界 へ。オードリー・ヘプバーンをはじめ海 外アーティストのCM出演交渉や音楽祭 などで、国際間のコーディネーターとして 先駆的な役割を果たす。現在は、講演、 TV、各種委員、著述等、幅広く活動。 日本初の女性国会議員のひとり、母・加 藤シヅエの志を継いで、AAR Japan[難 民を助ける会]の副会長を務めるなど、 ボランティアにも励む。


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