自分の命は自分で決める

文=鎌田 實

 

 生前整理というと、自分の財産をどうするかということに目がいきがちです。でも、 いちばん大事な自分の命については、あいまいなまま、なりゆきに任せている人が多いように思います。
 
 その結果、望んでいない延命治療や蘇生処置が行われたりして、死の形を複雑にしています。胃に穴を開けて栄養を入れる胃瘻という処置を受けている人は 26 万人いるといわれていますが、自らの意思で選択した人はどのくらいいるでしょうか。

 

生前の意思を残す「リビング・ウィル」

 

 いつか必ずやってくる死について、自分の考えを残すことは大切なことです。こうした「リビング・ウィル」の必要性が言われて久しいのに、いまだにあまり広がっていないのは残念なことです。 13 年の厚労省の調査では、意思表示の書面作製に賛成の人は7割いましたが、実際に書面を作った 人は、このうちのたった3%でした。

日本は多死時代を迎えています。「孤独 死」もますます増えるでしょう。世間は「孤独死」=「かわいそう」という目で見るかもれませんが、本人が納得しているなら関係ありません。たまたま最期の場面で、だれにも看取られなかったとしても、人生を自分らしく生きることができれば、それはそれですばらしい生き方だと思います。
 
 自分らしい人生のためにも、病気が不治の状態で、死が迫っている場合、胃瘻や人工呼吸器などで延命処置をするか、苦痛を緩和する治療を受けるかなどを考えて、 意思を記しておきましょう。

……続きはVol.36をご覧ください。

かまた みのる

医師・作家。1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医 学部卒業後、長野県諏訪中央病院へ赴任。30代で院長と なり、潰れかけていた病院を再生させた。91年より約25年 間、ベラルーシ共和国の放射能汚染地帯へ100回を超える医師団を派遣し医薬品を支援してきた。04にはイラク7支援を開始、難民キャンプでの診察を続けている。東北の被災者支援にもいち早く取り組む。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェル ノブイリ連帯基金(JCF)理事長、日本・イラク・メディカルネット(JIM-NET)代表、地域包括ケア研究所 所長、東京医科歯科大学臨床教授、東海大学医学部客員教授。主な著書に『がんばらばい』『1%の力』『だまされない』など多数。


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