新・日日是好日

文=帯津良一

老化を楽しむ

ホリスティック医学から考えたい認知症

 

認知症のことが、いろいろ話題に なる昨今だが、これまでは私自身の専門領域ではないということで、いささか距離をおいて眺めていた。ところが、専門家のなかには認知症というのは病気というよりも老化現象 だという人もいるし、そう右か左か決め付けなくても、老化現象がまったく関与していないことはないだろう。

老化現象といえば、これは人間まるごとの現象である。人間まるごとを相手にするホリスティック医学を 追い求めるものが、我関せず焉とめていてはいけないのではないかと思うようになって来たのである。

からだ( Body )、こころ( Mind )、 いのち( Spirit )が一体となった、人間まるごとをそっくりそのままとら えるのがホリスティック医学。いのちとは内なる生命場のエネルギー。 生命場の状況が脳細胞を通して外に 表現されたものがこころだとすると、認知症というのは人間まるごとの病であるということがよくわかる。

また、時間という観点から見れば、病というステージに止まらず、 生老病死のすべてのステージと死後の世界までを対象としながら、誰もが、死後の世界をも含めたすべての ステージを通じて、人間としての尊厳を全うするのをサポートするのが ホリスティック医学である。
 

楽しみながら 認知症を予防する法

 

すべてのステージが一つの流れと してつながらなくてはならないの だ。この世とあの世が一つのメロディのようにつながるのである。どうすれば一つのメロディになるのか。鍵は夏目漱石が、小説『野分』のなかで、主人公の白井道也(しらいどうや)に言わしめている。

──理想の大道を行き尽くして、途上に斃(たお)るる刹那に、わが過去を一瞥(いちべつ)のうちに縮め得て始めて合点が行くのである。──

のなかにある。

死の瞬間のどこかで合点することによってこの世とあの世がつながって一つのメロディになるのである。このつながりを妨げるのが認知症である。だから、できれば認知症は避けたい。しかし、老化は誰にも平等に押し寄せて来る。それも怒涛の如くにである。いくら抗っても、いつかは押し切られてしまうだろう。それでも抗うのだ。

幸い、認知症の予防法には楽しいことが多い。気功に勤しみながらこまめに動く。晩酌のつまみは湯豆腐(イソフラボン)に旬の刺身(EPA、DHA)、締めはニンジン御飯 (カロテン)。そして大いにときめく。 なんだ我田引水ではないか。そし 時には憎からず思っている女性と杯を酌み交わして、最後はハグ(セロトニン)だ。こうして楽しみながら抗うのも人の道のように思えて来 た。

おびつ りょういち

帯津三敬病院名誉院長。日 本ホリスティック医学協会名 誉会長。1936年埼玉県生 まれ。61年東京大学医学 部卒業。東京大学医学部第 三外科医局長、都立駒込病 院外科医長などを経て、82 年帯津三敬病院を開設し院長。西洋医学だけでな く、中国医学、ホメオパシー、代替医療など様々な 療法を駆使してがん診療に立ち向かい、人間をまる ごととらえるホリスティック医学の確立を目指してい る。 新刊は『毎日ときめいていますか?』(風雲舎)など。講演会、養生塾などの開催については、 http://www.obitsusankei.or.jp/ をご覧ください。

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