cinema『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ』

大スクリーン、 大音響で楽しみたい アクション・エンタテインメント

文:川口力哉

知能、肉体、精神を極限まで鍛え抜いたネイビーシールズ

 
いつしかジェットコースターを傍目から眺めるようになり、アクション映画の派手なポスターを見ても足は劇場から遠のくばかり。それが今回、本作のキャッチコピーである、「ナチスの金塊を奪還せよ!」というフレーズの〈金塊〉に目が眩み、半信半疑で劇場に足を踏み入れたわけである。この金塊が本作の目玉なのだが、いわゆる紙幣ではなく金塊というところも面白い。ハリウッド 映画はいつもドル建てなので、現金3億$と言われても円でしかお金の価値を実感できずあまり真実味が感じられない。それが金塊3億$と言われると、もうその言葉の響きだけで金の神々しい光をイメージしてしまうから不思議なものである。

本作のタイトルでもあるネイビーシールズとはアメリカ海軍の特殊部隊のことを言うのだそうだ。言うまでもなく軍隊には、陸軍、海軍、空軍の3つがあるわけだが、その中でどれかを選べと言われれば、間違いなく海軍を選ぶ。理由は海が好きだからというシンプルなものだが、この映画を見た今となっては、そんな甘言ももう言ってはいられない。ネイビーシールズになるためには、知能と肉体と精神、この3つを極限まで鍛え抜いた選ばれし者のみがその一員となる過酷任務なのである。
 

 博愛主義に満ちた想定外のエンディング

 
舞台は1995年、紛争末期のサラエボである。たまたま恋仲になったローカルバーのウェイトレスのララから、ナチスにまつわる埋蔵金の在り処を告げられたシールズ隊員スタントンは翌日、シールズのチームリーダーであるマットに相談を持ちかける。確かにシールズのように、数学の天才、武器調達のプロ、重火器のエキスパート、腕利きパイロットとその道のプロ集団がそろえば、不可能はないといったところだろ う。しかし話を聞けば、3億$ 27 トンもある金塊は湖の 45 メートル底に沈んでいるという。それを引き上げるなんて、国家プロジェクト並みの大仕事。メンバー6人だけでやり遂げるというのは無理難題である。実際のところこの映画の制作チームは、シナリオが現実に実現可能なのかどうかを入念に調査したはずで、その試行錯誤がストーリーの時系列に従って随所に描かれているのも見逃せない。

それにしてもアクション映画もここまで進化したのかと驚かされた。もはや実写とCGの見分けは全くつかず、喧嘩のシーン一つとってもリアルこの上なく、水中でのアクションは観ているこちらまで息が詰まる絶体絶命のシーンの連続であった。ネタバレになるので詳細は控える が、ストーリーの結末が実に味わい深い。これがイギリス映画なら、30 億$の金塊のはずが最後は延べ棒一 本に化けて終わっただろうし、従来 のハリウッド映画なら、仮に金塊を 手にしたとしてメンバーが宝を山分けしてハッピーエンドとなったはずである。このエンディングはどういう風の吹き回し?と思わずにはいられない想定外の展開となる。こちらが気恥ずかしくなるくらい博愛主義に満ち溢れているのだ。今の時代が求める世界最強の男たちとはこういう人たちなのだろうか?はたまた映画製作者による、軍への忖度が働いた結果なのだろうか。
 
冗談はさておき、やっぱりアクションもたまにはいいものだ! 久しぶりにそんな気持ちにさせてくれた本作は、最新設備の整った大スクリーンで大音響で鑑賞されることをお勧めする。

©2016EUROPACORP-STUDIO BABELSBERG

『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』

原案:リュック・ベッソン
監督:スティーブン・クォーレ
脚本:リュック・ベッソン、リチャード・ウェンク
出演:サリバン・ステイプルトン、J・K・シモンズ、シルヴィア・フークス ディミトリー・レオニダス、チャーリー・ビューリー、ディアミッ ド・マルタ、ジョシュア・ヘンリー、ユエン・ブレンナー

2018年1月12日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほ かにて全国ロードショー

提供:アスミック・エース、カルチュア・パブリッシャーズ 
配給:アスミック・エース

かわぐち りきや

俳優。1975年和歌山県生まれ。早稲田大学理工学部卒業。主な出演作は映画『THE GODDESS OF 1967』(オーストラリア映画)、『李歐』の主演をはじめ『凶気の桜』『阿修羅のごとく』『タッチ』『テニスの王子様』 『スマイル 聖夜の奇跡』『龍三と七人の子分たち』、 テレビ「もっと恋セヨ乙女」「危険な関係」「芋たこなんきん」「ヤスコとケンジ」「行列48時間」「ギルティ 悪魔と契約した女」「白虎隊」、舞台『座頭市』など。 著作に小説『ピースマン』がある。現在、世田谷深沢に開校した、小中生を対象とした未来創造スクール「GREEN STAR」の代表を務める。


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