東學坊

大山は豆腐の美味さでも評判だ。〈大山とうふ〉といえば関東ではブランド力がある。きれいな水があること、修験者や僧侶たちの精進料理であったことから、この地で豆腐が作られるようになったらしい。「豆腐が大好きなので美味い豆腐料理食べたいですね」と眞島さんの食欲も全開。ならばと、創業が慶長5年、西暦でいえば1600年という御宿〈東學坊〉を訪ねることにした。なにしろ江戸幕府以前の創業ということで興味が募る。本陣を思わせる歌舞伎門の玄関口には、勝負・開運の神でサッカー日本代表のエンブレムでもなじみの八咫烏(やたがらす)の家紋が見える。安土桃山時代の先祖が那智大社より大山に移ったという系譜である、と18代目女将・相原美智子さんが説明してくれる。

現在、板場をまかされているのは息子で19代目となる理人さん。自慢の御坊料理のなかから〈松の膳〉を用意していただく。先付はカモ燻製の豆乳ドレッシング、御造りは湯葉のたたき。
魚のたたきの上に湯葉その上にミニトマトと3層になった御造りとは見えない一皿に「まるでスイーツみたいじゃないですか」と興味津々。八寸は豆乳スープやゴマ豆腐や豆腐サラダ、木の芽和えなどが盛られた一皿。「白和えかと思いましたが、確かにサラダです。それにこのゴマ豆腐が美味しいです」と。ゴマ豆腐は昔から受け継がれる伝統の逸品だ。続いて冷奴。「湯葉のたたきといい奴の豆腐といい、味が濃厚ですね。しっかりと豆腐の味がします」。洋皿として出されたのは、豆乳のホワイトソースにホウレン草のピューレをまぜたソースがアクセントの豆腐のソテー。若き料理人・理人さんならではのアイデアだ。「既成にしばられずに豆腐の味わいをいかす料理をと心得ていますが、洋風の料理は最初は先代に許してもらえませんでした」と語る。

その後も道明寺蒸の炊合せ、豆腐と帆立と海老のしんじょうや茗荷の天ぷらなどの揚物に季節のご飯、そして水菓子は豆腐のアイスクリームと豆腐づくし。「デザートまで豆腐だなんて、まさに豆腐のフルコースですね。伝統を継承しながらも新風を吹き込む、そんな気風がこの宿の400年以上の長い歴史を支えているんでしょうね」と眞島さんも感慨深い様子。

眞島さんが召し上がった個室でいただく松の膳は5,775 円。合席のミニ懐石は2,100 円。豆乳の湯豆腐も人気がある。宿泊は1 泊2 食付で12,600 円から。露天風呂もあり立ち寄り湯も800円で利用できる。(*取材当時の値段です)

〔住〕伊勢原市大山437
〔問〕0463-95-2038(9:00 ~ 21:00)
〔営〕昼食は12:00 ~ 15:00 
〔休〕水曜


新着記事

おすすめ記事

児玉清さんが遺したことば

what a beautiful time

浜美枝さんの箱根

Present

WEB限定プレゼント

Category

from Readers

Club