舞台『リトル・ナイト・ミュージック』の俳優たち

2018年4月に日生劇場で上演されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』。
イングマール・ベルイマン監督の映画『夏の夜は三度微笑』に着想を得た作品で、 求め合いながら滑稽にすれ違う男女の愛が、ソンドハイムの粋な楽曲で奏でられる 大人がほくそ笑む洒落たミュージカル・ラブ・コメディだ。
舞台の製作発表の場に4人のメインキャストが登場した。
大竹しのぶ、風間杜夫、蓮佛美沙子、ウエンツ瑛士の新鮮、かつ魅力的な顔合わせ。
来春に公演を控えた面々に、公演に寄せる第一声を聞かせてもらった。
4人揃っての顔合わせはこの日が初めてだが 作品に寄せる思いはそれぞれの中ですでに大きく膨らんでいる。
舞台に向き合うそれぞれの姿勢が重なり、カンパニーとしての作品に結実する。そこにまた一つ、志を同じくする仲間たちの時間が生まれる。
4人が一緒に納まった写真は、まるで家族の肖像のようであった。

文=二見屋良樹 撮影=言美歩


おおたけ しのぶ  

かざま もりお  

1973年のブロードウェイ初演以来、トニー賞7部門、グラミー賞2部門の栄冠に輝いた名作ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』が、日生劇場で上演される。作詞・作曲のスティー ヴン・ソンドハイム(『ウエスト・サイド・ストーリー』作詞、『スウィーニー・トッド』作詞・作曲)の最高傑作とも評される作品だ。演出にはイギリス人のマリア・フリードマンを迎える。主役の女優デジレには、出演作ごとに新たな境地を見せ、常に演劇ファンをうならせる大竹しのぶ、元恋人フレデリックにミュー ジカル初挑戦の風間杜夫、その若き妻アンに今回が初舞台、初ミュージカルとなる蓮佛美沙子、アンに思いを寄せるフレデリックの息子ヘンリックに舞台俳優 しての進境も著しいウエンツ瑛士というキャスト。公演を4ヶ月先に控えた4人 の出演者に、作品に寄せる現段階での心境を語ってもらった。

舞台は、自分がどんな人間になったかということを再確認するような場所だと言うウエンツ瑛士は、現在一年に一本というペースで舞台に立っているが、この一年間自分自身がどんな過ごし方をしてきたのかということを見せつけられる時間だという。

「一番楽しみにしているのは、マリア・ フリードマンさんに演出をつけてもらえるということですね。舞台を始めたころから、外国人の演出家の方にみてもらうといいよ、と音楽指導の方や、振付家の方たちから言われていました。その意図 がどこにあるのかというのを解明できるチャンスではないかと、期待しているんです。それに、今年の夏にロンドンで、『レ・ミゼラブル』の演出家であるジョン・ケアードさんにお会いした際に、マリアさんは、きっと君が求めるぴったりの言葉をかけてくれるはずだよと言われて以来、そのことで頭がいっぱいになっています。僕の役が作品のいいスパイスになれば嬉しいなと思っています」

れんぶつ みさこ

うえんつ えいじ 

大竹しのぶと共演できる、それだけで 出演を決めたという蓮佛美沙子。

「ソンドハイムのミュージカルというハードルの高い作品に身が震える心地なんですが、女優として自分を変えたい、変えなきゃいけない時期なのではと思っ ていた矢先にいただいたお話でした。そろそろ舞台に挑戦をと考えているときとも重なり、新たな一歩を踏み出す絶好のタイミングだったのかもしれません。この作品に出演することで自分がどんなふうに変われるのか、今から楽しみです。 今は何に緊張していいのかもわからない状態なんですが、いくつもの初めてが重なって一気にいろんな体験ができることを楽しみつつ、無知だからこそやれるということを信じて、マリア・フリードマンさんの演出という貴重な体験を通して 実感できたことを積み重ねて初日を迎えたいと思います」

恩師でもある劇作家で演出家のつかこうへいから「日本で最も踊ってはいけない役者」という奇妙なお墨付きをもらった風間杜夫が、ついにこれまで縁がな かったミュージカルの舞台を踏む。決め手となった一つに、旧知の間柄である大竹しのぶとの共演があるが、大竹と風間は、それぞれ長い舞台キャリアがありながら、今回が舞台初共演である。

「踊らなくてもいいということと、歌は吉幾三先生調でいいというので引き受けたらとんでもない話で、なんといってもソンドハイムの作品ですからね。外国の演出家との仕事も初めてなんです。マリアさんはきっと新たな視点と型通りではない手法で、俳優のもっているものを上手く引き出すことを心がけてくださると思うんですよね。イギリスの方なので、古い伝統的なヨーロッパの雰囲気のようなものが香り立つような演出をなさるのではないかなと予感しています。ニュアンスとか色合い、味つけというものを、きっと上手くやってくださるのではないかという期待があります。間違いなく楽しい芝居作りになるなと実感しました」

『スウィーニー・トッド』でソンドハイムの作品を体験している大竹しのぶ。共演の市村正親の誘いで実現した舞台だった。そして79年版(デジレ役は越路吹雪)で、今回ウエンツが演じるヘンリックを演じた市村が「絶対やったほうがいいよ」と薦めてくれたのが本作だった。取材時は『欲望という名の電車』(シアター コクーンにて 12/28 まで)の稽古の真っ只中。「今もイギリス人の演出家と一緒に仕事をしていますが、芝居というのは、こうやって作られるべきものなんだというのを体験している最中です。一つのセリフ をきちんと掘り下げて、そこに深い意味 があることを教えていただき、一つ質問すると、どんな質問にもそれを 10 にも 20 にもして返してくださって、俳優の心を 満たしてくれます。その時間が楽しくて、 稽古が 24 時間あればいいのにと思うほど 熱中しています。マリア・フリードマン さんはすばらしい演出家で、ご一緒できるなんてめったにないチャンスなので、 稽古に入るのが本当に楽しみなんです。 ソンドハイムの曲には難解なものも多いのですが、その難解さがクセになるんで す、魔法みたいな感じで。すべてが計算 されていてなんだか数式みたいなんですよ、音符が。それが美しいんです。キチンと音を出せばこんなに美しい作品ができあがるんだと、すごい人だなと思います。ソンドハイムのミュージカルのすばらしさをこの作品でお見せできればと思っています」

4人の俳優たちの発言から、この舞台 にそれぞれが求めるものが明確に伝わってくる。求めるものが見えたとき、自ずと進むべき道が拓けてくる。ウエンツの 真っ直ぐな意欲、蓮佛の無垢な覚悟、風間の力みのない自在さ、大竹の静かながらもたぎるような芝居熱、それがどのように結合していくのか、劇場で目撃しないわけにはいかない。

ミュージカル 『リトル・ナイト・ ミュージック』

東京・日生劇場にて 2018年4月8日~30日
作詞・作曲:スティーヴン・ソン ドハイム 
脚本:ヒュー・ホィー ラー 演出:マリア・フリードマ ン 
出演:大竹しのぶ/蓮佛 美沙子/安蘭けい/栗原英雄 /安崎求 トミタ 栞 瀬戸たかの /木野花/ウエンツ瑛士/風間 杜夫
料金(税込):S席13,000円、 A席8,000円、B席4,000円

〔住〕千代田区有楽町1-1-1 〔問〕03-3201-7777東宝テレ ザーブ(9:30~17:30)


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