東出昌大

2012年に映画『桐島、部活やめるってよ』での俳優デビュー以来、映画では『クローズ EXPLODE』『寄生獣』『アオハライド』『GONINサーガ』、テレビドラマ「ごちそうさん」「花燃ゆ」「問題のあるレストラン」「精霊の守人」、舞台『夜想曲集』など、さまざまな作品にめぐりあい、その都度、俳優として新しい経験をさせていただいてきましたが、5月7日に公開される映画『ヒーローマニア−生活−』(監督:豊島圭介/共演:窪田正孝、小松菜奈、山崎静代(南海キャンディーズ)、船越英一郎、片岡鶴太郎)でも、今までにはない新たな自分との出会いがありました。

〝アクション・コメディ〟といったタッチの映画で、僕が演じる主人公の中津はいわゆるヘタレでダメダメな30歳のフリーターといった役どころです。

世の中の不条理に疑問を抱きながらも、正義感は空回りするばかりですが、偶然の出会いをきっかけにデコボコな4人組のチームを組み、それなりの覚悟も責任感ももたないまま、街の小さな悪を片付け、いつしか街のヒーローになっていきます。

まず、コメディというのがまったくの初体験で、コメディ映画ということを意識して、たとえば具体的に変な表情をしたほうがいいのかなと、おかしさの度合いというむずかしさも体験しましたが、悲劇、喜劇問わずいずれの役でも、芝居するということは役を生きることに変わりないのだと考えたとき、主人公が精一杯生きている姿の結果として笑いが起こるのではないかと思いいたりました。故意に笑わせようとする衒いのある演技からはおかしさは生まれない。大真面目に一生懸命だからこそ、おかしさが生まれる。それがコメディなのだと、この作品を通して自分なりの解釈を得られるような気がします。

バカバカしくぶっ飛んでいながら、単なるドタバタ喜劇ではない。アクションのアクロバティックな面白さと同時に痛みも感じるかなりg激しく本格的な、どつきあいの域を超えたもので、そういう意味では新しいタイプのスラップスティック喜劇と言ってもいいのかもしれません。

今まで演じてきた役柄に重ね合わせて、僕自身が爽やかな好青年だとか、硬派な男という具合にイメージされることが多く、中津のようなヘタレのの役を演じるのは初めてのことで、こういう役に挑戦させていただけるんだと、この役に僕を指名してくださったことが、まず素直に嬉しかったですね。監督には、僕の中にある天然のヌケた部分、三の線といったキャラクターを見抜いていただき、引き出していただきました。

共演の方々も今までとは違うイメージの役柄を、それぞれに魅力的に演じていらっしゃいます。自身がどう生きているのか、今後どんあ人生を生きるのか、誰かの人生を生きている俳優という仕事にはそれがとても大切なことで、長いスパンの中で、俳優の顔が造られ、技量が身につき、品格のようなものが形成されていくものだと思います。簡単に手にできるものは、すぐ失われるものだと思っているので、生涯を通して悩み続けなければならないかもしれませんが、人生を賭すやりがいのある仕事だと信じています。

ダメな主人公が〝ヒーロー〟として立ち上がるという経験を通して、少しだけ成長していくように、この役を演じたことで、僕自身が俳優として一歩前進、成長できたと思える充実感を感じています。

 

 

撮影:2016年3月11日 東京・松濤スタジオにて PHOTO:平岩享

「悩みを伴い続ける、でも、人生を賭すやりがいのある仕事だと思います」

 


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