坂口健太郎

 2010年にモデルの仕事がスタートし、14年には映画で俳優の仲 間入りをさせていただき、現在、まだ手探り状態ながらも、モデル (MEN’S NON-NO専属)、俳優としてすばらしい仕事の場を与え ていただいています。そして、このたび、僕にとって未知の分野で ある、舞台という新たなフィールドへ踏み出す機会をいただきまし た。チェーホフの『かもめ』での初舞台です(10/29~11/13、東京 芸術劇場プレイハウス)。

周囲の方々から、「舞台はやったほうがい いよ」とすすめられていたので、いずれはと思っていましたが、こ んなに早くそのチャンスにめぐりあうとは思っていませんでした。 オファーをいただいたとき、映像とは違って〝生〟の舞台は、経験し たことがないということで、畏れや不安が先に立つかと思っていた のですが、元来の好奇心の旺盛さも手伝って、面白そうだという気 持ちのほうが僕を支配したようです。僕が演じるトレープレフは、 大女優(佐藤オリエ)を母にもつ作家志望の青年で、恋心を抱いてい る女優志望のニーナ(満島ひかり)は、母の恋人で流行作家のトリ ゴーリン(田中圭)に思いを寄せてしまいます。

初めて戯曲を読ん だとき、これは一筋縄ではいかないぞ、という手強さを感じました。 台詞には書かれていない、トレープレフの内面の一層にも二層にも 奥深く潜ったところにある感情というものを見つけなければいけ ない、そのためにはトレープレフの心の中の、さらに裏側の部分に まで潜り込まなければと感じています。ただ、初舞台だからといっ て、いろんな情報に頼るのではなく、戯曲を読んで僕が何を感じた のか、ということをまずは大事にしたいと思っています。

僕は役について考えている時間が好きで、自分とは違うその役の人物の感情 を探り、自分がその感情の持ち主になって、周りからも役の人物と して見ていただけるようになって、その場に立つことができる。俳 優の何たるかもまだ知らない僕ですが、そこに演じることの楽しさ を見つけているのかもしれません。役に対する僕のスタンスという ようなことで言えば、役の中に5パーセントくらいは僕自身が残っ ていてもいいのかなと思っているんです。完全にその役になりたい というより、その役に寄り添う一番近い存在でいたいと思っていま す。どこか一箇所だけでも坂口健太郎自身が残っていることで、そ の役に何かしらプラスαの面白さが生まれるのではないかと、なん となくですが感じています。

これから稽古が始まり、実際に共演者 のみなさんと向き合うなかで、役の捉え方も深く、そして研ぎ澄ま されていくことも期待しつつ、まずは、俳優として今は何も持って いない僕なので、身一つで飛び込みぶつかっていくことでいいのか なと、今はその瞬間が訪れるのがとても楽しみです。俳優の仕事を 始めた2年前、僕はまだスタートもきっていない靴紐を結んでいる 状態でした。今は、やっと両方の靴紐を結び終って立ち上がったと ころだと思っています。完璧というゴールには絶対にたどりつけな いものなのかもしれませんが、だからこそ、その完璧にたどりつこ うと日々試行錯誤する。たしか、マイケル・ジャクソンがこのよう な発言をしていたと思います。俳優という仕事、演じるということ に対して、今の僕の心境に一番響く言葉です。今回の舞台を経て、 僕が何を感じるのか、僕の何が変わるのか、とても楽しみ。

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撮影:2016年8月18日  東京・新宿 ハイアット リージェンシー 東京にて  PHOTO  平岩 享

「今回の初舞台で、俳優としての僕が何を感じるのか、何が変わるのか、それが楽しみです」

 


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