松坂桃李

「劇場へ足を運んで観ていただく価値のあるクオリティ、そこに、映画人として緊張感を持って臨みます」
撮影:2018年3月6日 代官山 スタジオにて  Photo 言美歩

『不能犯』『娼年』に次いで今年3本目となる映画『孤狼の血』が公開されます(5月12日(土)全国ロードショー)。この映画は、深作欣二監督の『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』といった1970年代に製作された東映のお家芸とも言える「実録路線」の血脈に位置する映画で、暴力団同士の抗争とそれを阻止せんと立ち向かう警官との攻防劇が熱く展開されます。

出演のオファーをいただいたとき、昨年『彼女がその名を知らない鳥たち』でご一緒した白石和彌監督とこんなに短い期間に再会できるという喜びが大きかったですね。その上バディ映画(註: 主人公が二人一組で活躍するジャンルの映画)で、しかもバディのお相手が役所広司さん。『日本のいちばん長い日』以来の役所さんとも再会できる嬉しさがあり、自分がいままで触れたことがない刑事と暴力団という題材といい、興奮する要素満載で、断る理由なんてどこにもないと思いました。

これまで作品を作っている最中は、楽しいとか幸せだとか思う余裕があまりなく、完成した作品を見てさまざまなプロフェッショナルな人たちが集まって作り上げた作品の歯車に自分もなれたなという感覚を得られたときにはじめて、出られてよかったと 思う感じでしたが、白石監督の撮影は、何が起るかわからないというのが楽しくて、驚きと緊張と興奮が一気に押し寄せてくるようなすごい現場の、そんな滅多に味わうことのできない空気感のなかに存在できて、すごく楽しかったなというような感覚を覚えました。また、役所さんが主役として全員を包み込む現場での佇まいには大いに学ぶべ きものを感じましたし、役所さんの傍で多くの時間を過させていただけたことは僕にとって貴重な財産とも言える体験でした。

……続きはVol.35をご覧ください。


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