段田安則

「1年間で5本の舞台に 出演という俳優人生 初めての体験を楽しんでいます」

撮影:2018年6月12日 松濤 スタジオにて  Photo 言美 歩

2月の『喜劇 有頂天一座』に始まり、4月に『ヘッダ・ガブラー』、現在は井上ひさしさん作の『夢の裂け目』に出演中です。

この後も『出口なし』(8/25~9/24新国立劇場 小劇場、9/27~9/30大阪サンケイ ホールブリーゼ〔問〕シス・カンパニー03-5423-5906)、『民衆の敵』 (11/29~12/23Bunkamuraシアターコクーン)と続きます。1年間で5本の舞台に出演するのは、俳優になって初めての体験です。

5本もやらせていただけるのは俳優としてとても幸せなことですが、5作品それぞれに心惹かれてお受けしたものの、やってみると結構大変です。でも、一つの色をやると、別の色彩を帯びた芝居をやってみたくなる飽きっぽい性分の僕にとっては、それぞれに異なった色合いがある今回の体験は、嬉しいことですね。体力的にはしんどくて休みたいと思う日もありますが、劇場に行くと大袈裟に言えば生きている充 感といいますか、心がニタッと微笑むことがあります。

もともと舞台 が好きでこの世界に入りましたからね。それでも最近、「台詞が出てこなかったらどうしよう」という不安感を初めて覚えました。この年齢になっても、自分ならできるという自信と不安を行き来しながら舞台に立っています。

次回作の『出口なし』はジャン=ポール・サルト ル原作の不条理タイプの密室の会話劇です。出演を決めた最大の理由は、大竹しのぶさん、多部未華子さんとの共演です。大竹さんとは何度も舞台をご一緒していますが、僕が台詞を投げかければ大竹さんが 何とかしてくれるという安心感があって、単純に台詞のやりとりをするだけで楽しいんです。お互いの〝息〟もわかりますし、変化球のやりとりが成立する貴重な相手です。きっと僕のセンス、芝居をわかってくださっているのだと勝手に思っています。

多部さんとはテレビドラマでの共演はありますが舞台をご一緒するのは初めてです。 20代の女優さんの中でも大好きな女優さんの一人で、舞台も拝見しています。魅力的だと思うのは、芝居が濁っていないところです。 正直な芝居という印象があって、ぜひ一度舞台を一緒にやってみたいと思っていました。

映像と舞台はまた違いますので、舞台ではどんな感じで向き合えるのかがとても楽しみです。演出は、9月に新国立劇場演劇部門の芸術監督への就任が決まっている小川絵梨子さんで、以前『OPUS/作品』と『コペンハーゲン』でご一緒しました。翻訳劇にありがちな日本語のわかりにくさや意味合いの混乱を取り除いて、俳優がやりやすい、観客にもわかりやすい演出をする方です。何よりも芝居が好きなんだなということを小川さんからは 強く感じます。それは一緒に仕事をする大きな要素になります。

今回は上演台本も手がけられますが、俳優のそれぞれの個性を活かす台本にしてくださるのではないかと期待しています。この一種難解とも言われる作品の核、芯をどこに据えて演出なさるのか大変だと思いますが、楽しみです。心にひっかかるところとか、面白いなとか、ここは謎だなとか、俳優が作品の中に見つけたものを膨らませて演出なさるのではないかと想像しています。英国の俳優が〝シアター・ドクター〟、つまり俳優にとって〝劇場は医者〟なんだよ、とうまいこと言うんですよ。

熱があっても、痛いところがあっても、 好きな仕事に向き合えば気合いが入る。俳優の僕にとってはまさに舞台がその場所なんだと思います。

 


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