「舟木一夫」という青春

~「高校三年生」から』55年目の「大石内蔵助」~

 

テレビアニメ「鉄腕アトム」の放送が始まり、 翌年には東京オリンピックの開催を控えた昭和38年、 詰襟姿で鮮烈なデビューを飾った 18 歳の舟木一夫。
デビュー曲「高校三年生」は、あっという間に売上を伸ばし、 舟木一夫は一躍スターダムに押し上げられることになった。
デビューから半年間に「修学旅行」「学園広場」「仲間たち」が立て続けにリリースされ その後に続く〝青春歌謡〞という流行歌のジャンルが生まれる先駆けにもなった。
9月まで放送されていたNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でも通学バスの中でヒロインたちが口ずさんでいたのが「高校三年生」だ。
「青い山脈」の次世代のみんなで歌える愛唱歌として、現在も、同世代の人々が、舟木の歌に自身の青春時代を重ね歌い継がれている。高校三年生も、デビューから足掛け55年の歳月を重ねた。

12 月には新橋演舞場で、芸能生活55周年ファイナルとして特別公演が上演される。 演目は昼夜通し狂言での『忠臣蔵』で、舟木は大石内蔵助を演じる。

これまで花も実もある多くの花形役者たちが演じてきた役だが、 「僕が演じるにあたっては、他の役者さんたちと同じであったら意味がないと思う」と初役への意欲を語り、とにかく初日が楽しみだと言う舟木。 商業演劇の娯楽時代劇というスタンスでの通し狂言で見せる『忠臣蔵』。 舟木一夫の大石内蔵助がいかなる色合いを帯びるのか、興味が高まる。

企画協力・写真提供=新橋演舞場宣伝部、松竹写真室、マルベル堂(プロマイド)、日本コロムビア(レコードジャケット)

撮影=福山楡青

いさぎよい良い人

文=齋藤正文

 

私は、こんなにいさぎよい人を知らない。

舟木一夫さんは、きっと、どんな絶頂にあっても、次の日に全てを捨てて何の悔いるところもない人だろうと思う。

「執着」というものがないのかもしれない。といって、ふわふわとした心もとない人生観の持ち主でもない。

その代わり「こだわり」は強い。「こだわり」が強くて「いさぎよい」という相反するものが、舟木さんの中で同居して成立しているのだ。

昨年の十二月、新橋演舞場で『どうせ散るなら』という舞台を上演した。 このタイトルに舟木さんはこだわった。というか、それに勝る題を、作者たる私も、制作も思いつかなかったのだ。制作や劇場は、少々捨て鉢で縁起 が悪いと難色を示したのだが、舟木さんは「幕にかけて」押し通した。「幕にかける」というのは、幕内の言い方で、 意見が通らなければその舞台には出ないという強権の発動をいう。

このタイトルは、まだ台本が書き上 がる前、舟木さんが最初に電話でぼそっとおっしゃったもので、『天保六花撰』という、六人の悪党が一つのささやかな善行のために命を散らすという物語の本質を鷲づかみにしていると思った。

‥‥‥続きはVol.33をご覧ください。

現在、舟木一夫の年間観客動員数は約30万人とい う。舟木は自身のことを流行歌手という表現を好んで使うが、流行歌手というのは世代色が強いのだとか。 日本近代文学研究者で、立教大学名誉教授の藤井淑禎氏は、「驚異的な経済成長をとげる前の、日本がまともであった時代に現われた舟木一夫という歌手。その時代精神を体現している舟木の歌の世界に共鳴し、あのころの空気を求めて人々はコンサートに足を運ぶ」と言っている。舟木は確かに、時代を生きる同志として同じ空気を吸っていた世代感の強い歌い手なのである。同じ時代に青春を過した女性たちは、今もあのころのように花束やプレゼントを手に、握手を求めてステージへと駆け寄る。舟木は2時間近く休憩なしでメドレーも含めて約30曲を歌う。

『「華の天保六花撰」どうせ散るなら』 平成28年12月 講談でおなじみの『天保六花撰』。舟木が演じるのは沢島忠監 督の映画『美男の顔役』で大川橋蔵が演じた剣客・金子市之丞。 『花の生涯』以来の再共演となる里見浩太朗、舟木とは舞台で 幾度も共演している笹野高史と、魅力的な顔合わせが実現した。


インフォメーション

10月25日(水)10時より電話予約開始

芸能生活55周年ファイナル 舟木一夫特別公演 通し狂言『忠臣蔵』

本年芸能生活55周年を迎えた舟木一夫。そのファイナルと謳った特別公演が新橋演舞場にて上演される。演目は齋藤雅文脚本、金子良次演出による 「通し狂言 忠臣蔵」で、前編(昼の部)花の巻、 後編(夜の部)雪の巻で構成される。舟木は主役の大石内蔵助を演じる。もちろん、第二部には昼・ 夜別構成のシアターコンサートもある。新橋演舞場での座長公演は今年で通算17回を数える。共演 者に里見浩太朗、尾上松也、紺野美沙子、林与一、 田村亮らを迎えるメモリアルイヤーの掉尾を飾るに ふさわしい公演であり、歌手、俳優としての舟木の 2つの顔を堪能することができる。
〔公演期間〕12月2日(土)~24日(日) 〔劇場〕新橋演舞場(中央区銀座6-18-2) 〔料金〕1等席13,000円/2等席8,500円/3階A席 4,500円/3階B席3,000円/桟敷席14,000円 〔問い合わせ〕チケットホン松竹0570-000-489また は03-6745-0888(10時~18時)

芸能生活55周年記念 「みんな旅人」


1982年に発売された舟木一夫自身の作詞・作曲 の楽曲を新録音でリリース。書き下ろした当時はま だ30代後半だった舟木が、60代、70代となった同 世代のファンに向けて歌いかける。 COCA-17248 1,204円+税  発売元:日本コロムビア

『芸能生活55周年記念 舟木一夫CDコレクション(発売中)


前篇: 名作家達によるオリジナル全集』 (COCP-39839~43) 『芸能生活55周年記念 舟木一夫CDコレクション 後篇: シングルコレクション1963~2017』 (COCP-40023~27) いずれもCD5枚組、9,259円+税  発売元:日本コロムビア

芸能生活55周年記念出版 505枚完全掲載 舟木一夫 あゝ青春のプロマイド(発売中)

学生服、映画ロケ、舞台衣装など選りすぐりの505 枚を掲載した豪華BOX入り永久保存版。超特大 ポスターと最新撮り下ろし限定プロマイドの特典 付きで、撮影エピソードを語る舟木一夫インタビュー 「プロマイドとの時代」や、55周年と舟木の半生の 年譜、シングルリストも掲載されている。 監修:マルベル堂  編集:徳間書店学芸編集部 価格:7,560円

ふなき かずお

歌手、俳優。1944年12月12日、愛知県一宮市生まれ。63年6月5日、「高校三年生」で歌手デビュー、「高校三年生」は発売半年で100万枚 超える大ヒットとなった 。同年には同名映画『髙校三年生』で映画デビューを飾った。同年の日本レコード大賞新人賞を受賞し、NHK紅白歌合戦に も初出場を果した。紅白歌合戦には通算10回出場。ゴールデンアロー賞の第1回新人賞も受賞。デビュー2年目でNHK大河ドラマ第2作「赤穂浪士」に矢頭右衛門七役で時代劇初体験、その後大河ドラマには「源義経」「春の坂道」「毛利元就」にも出演している。また、「夕笛」「初恋」など詩歌、文学をモチーフにした叙情歌謡と呼ばれるジャンルで第一人者的存在となり、66年には「絶唱」で日本レコード大賞歌唱賞を当時最年少で受賞、映画化もされ大ヒットした 。映画監督&脚本家の松山善三の長編抒情詩を舟木の歌唱で綴るアルバム『その人は昔』は画期的な企画で当時の LPとしては 記録的な売上となり、やはり映画化もされた。代表曲に「修学旅行」「学園広場」「仲間たち」「あゝ青春の胸の血は」「君たちがいて僕がいた」「花咲く乙女たち」「北国の街」「高原のお嬢さん」「哀愁の夜」「友を送る歌」「銭形平次」「太陽にヤア!」「夏子の季節」「くちなしのバラー ド」「浮世まかせ」「春はまた君を彩る」など多数。また、ヒット曲の多くが 映画各社で映画化されている。テレビドラマでも「雨の中に消えて」「あいつと私」「泥棒育ちドロボーイ」「愛しすぎなくてよかった 」(脚本:内館牧子)、 12時間ドラマ「赤穂浪士」(清水一学役)、NHK連続テレビ小説「オードリー」など数多く出演している。近年は舞台では年2回の1ヶ月の座長公演のほか、年間50日を超える全国でのコンサート(昼夜2公演)を実施している。01年に松尾芸能大賞を受賞。来年4月に新劇場として開場する名古屋・御園座で7月に『舟木一夫特別公演』が予定されている。


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