①休肝日は要らない? 

お酒は無類の養生法

 

はじめから酒の話で恐縮である。

酒といっても日本酒にかぎってのことではない。アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称とお考えいただきたい。日本酒はもちろん、ビールもウィスキーもワインも焼酎もすべて含まれる。

もともと好きな酒だったが、これぞ無類の養生法と考えるようになったのはいつも頃からか。いまでは大好きな作家である山口瞳さんに倣(なら)って、毎日真剣に飲んでいる。

養生とは生命を正しく養うこと。私たちが生きることそのもの、古くもなく新しくもない永遠の真理である。だから養生に関する書物といえば、古今東西、枚挙に遑(いとま)が無い。

なかでも名著といえば、
 貝原(かいばら)益軒(えきけん)の『養生(ようじょう)訓(くん)』
 白隠(はくいん)慧(え)鶴(かく)の『夜船(やせん)閑話(かんな)』
 佐藤一(さとういっ)斎(さい)の『言志四録(げんししろく)』
の三冊。いずれも江戸時代の作。

その出来栄(できば)えは兄(けい)たり難(がた)く弟(てい)たり難(かた)しというところだが、こと酒に関しては貝原益軒がいちばん多くの頁を割いている。しかも酒に対する愛惜(あいせき)の念がひしひしと伝わって来る。

 

 

医学的に見ても効果のある飲酒

 

曰(いわ)く
酒は天の美禄(びろく)なり。少しのめば陽気を助け、血気をやはらげ、食気をめぐらし、愁(うれい)を去り、興(きょう)を発して、甚(はなはだ)人に益あり

なんたる名文。酒を評してこれほどの文章はないだろう。
その上で、多くを飲めば酒ほどよく人を害するものはないといい、美酒を飲んで微酔せしむることを飲酒の妙としている。以って銘すべし。相当の飲み手と見たがいかがだろうか。
さらに、酒を人に強(し)いるの害を説き、主人は客に酒をみだりに勧(すす)めるものではないとし、一方、客は主人が勧めなくても、日ごろよりは多く飲んで酔うものだ。そして互いにほどよく酔って喜びを合わせてともに楽しむことがいちばんよいという。

いやぁ!とても敵(かな)わない。まさに酒仙の境地である。『養生訓』のすべてが説得力をもって迫って来る。
飲酒を養生法とすることは現代医学的に見ても一理ある。まずは微酔は心身のリラックスをもたらす。リラックスは自律神経のうちの副交感神経のはたらきを高める。

額(ひたい)に汗した一日は交感神経が優位の状態になっているので楽しい晩酌によって自律神経のバランスが回復することになり、明日に向かっての備えが出来上がるのである。その上に、最近の知見から、副交感神経の優位は血中のリンパ球の増加をもたらし免疫死の向上に資することがわかって来た。身体が温まることもリンパ球の増加につながるという御負(おま)けまで付くからありがたい。
目には青葉 朝の気功に夜の酒
これが私の養生法だが、目には青葉と朝の気功については後日語りたい。

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おびつ りょういち

帯津三敬病院名誉院長。日本ホリスティック医学協会名誉会長。1936 年埼玉県生まれ。61 年東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科医局長、都立駒込病院外科医長などを経て、82年帯津三敬病院を開設し院長。西洋医学だけでなく、中国医学、ホメオパシー、代替医療など様々な療法を駆使してがん診療に立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学の確立を目指している。 新刊は『ドクター帯津の健康暦365+1』(海竜社)など。講演会、養生塾などの開催については、http://www.obitsusankei.or.jp/ をご覧ください。


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