季を遊ぶ

文=有吉玉青

冬のおばあちゃんこ

暖かいのが好き 包まれている感じが好き

 

この冬は暖冬だそうである。寒いのが苦手なので嬉しい情報だが、冬は冬。文字通りに暖かいというわけにはいかない。例年通り、もこもこと着込むことになるだろう。

といっても、着込むのは冬に限らない。私はよほど暑い日でもないかぎり、なんとなく重ね着をする。 そして、外に行くときはなんとなくもう一枚、はおるものを持って出かける。なんとなくとしか言えない。 着ないと不安、持っていないと不安なのだ。

これはひとえに祖母に育てられたゆえのこと。いつも厚着をさせられて、ちょっと寒いとさらに重ねて着せられていたので、自分でもそうしてしまう。着ると脱げない。暖かいのが好き、包まれている感じが好き。

そんなふうだから、背中のあいたドレス、シースルー、タンクトップ などは着たくても着られず、着たところで上に着てしまうから意味をなさない。寒い冬、コートを脱ぐと中はニットのノースリーブなんてあこがれてしまう――そんなことをいつ も薄着でおしゃれをしている友達に言ったところ、「それはもちろん 寒いけど、おしゃれって耐えることよ」と諭されてしまった。

でも、耐えているうちに風邪をひいたらもともこもない――そう考えるあたりが、筋金入りのおばあちゃんこなのかもしれない。風邪をひかないようにいつも用心していて、風邪かなと思ったらすぐ飲めるように、風邪薬も持ち歩いている。

……続きは、Vol.38をご覧ください。

ありよし たまお

作家。東京生まれ。早稲田大学哲学科、東京大学美学藝術学科卒業。ニューヨーク大学大学院演劇学 科修了。1990年、母・佐和子との日々を綴った『身がわり』で坪田譲治文学賞受賞。『ニューヨーク空間』『雛を包む』『車掌さんの恋』『風の牧場』『恋す るフェルメール 37作品への旅』『カムフラージュ』 『美しき一日の終わり』『ソボちゃん いちばん好きな人のこと』など多数の著書がある。

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