草原まるごと シンフォニィ

愛しのモンゴルよ そして友よ!

 

私の行くモンゴルはモンゴル共和国のモンゴルではなくて、中国は内蒙古自治区のホロンバイル大草原である。1986年に初めて訪問して以来、隔年に訪れているので、もう15 回を越えている筈だ。

空の青、雲の白、草の緑の3色の 世界に一人立って虚空と語り合って帰って来るのである。ただそれだけなのに、いつもわくわくして出かけるのだ。わくわくの原因は虚空だけではない。いつも首を長くして待ってくれている草原の友人たちの存在である。草原の人々は草原を愛してくれる人が大好きなのである。

今年は7月17日から5泊6日の旅である。夜が更けて到達したホロンバイル大草原の中心都市ハイラルの空港にはいつものように孟松林(もうしょうりん)さんが出迎えてくれている。最初の訪問の際は彼はホロンバイル盟立病院の若き外科医だった。私が帰国して間もなく外科部長のウインダライさんが私の病院に留学して来たあと、彼と交代するようにして孟松林さんがやって来たのである。

孟松林さんはオロチョン族出身の 純朴きわまりない青年7ヶ月間の 川越滞在中、見るもの聞くものにおどろいていつも目を丸くしていた。それが帰国するや否や、抜擢されて官途に就き、医師は廃業。オロチョン旗の旗長を経てホロンバイル盟政府の部長として活躍。2年前に定年を迎えて、いまは新設成った「モンゴル民族研究センター」の所長を務めている。

大草原のロマンと 茅台酒のいざない

「私の今在るのは川越市での7ヶ月間のおかげです」と言いながら、私 の滞在中はぴたりと寄り添って離れ ない。今回は45名の大部隊。バス2台を連ねて草原の中を走り回る。私は孟松林さんの愛車、大型のジープ の助手席に坐ってこれを追う。

孟松林さんは後部座席に陣取り、 運転はモンゴル族の綾野マチンさん。190㎝の長身にしてマスク もいい。日本に留学して20年余も滞在し、ついに日本に帰化したという日派だ。草原の魅力の第一は四方 八方が地平線の壮大な天空に繰り広げられる白雲のシンフォニィ。マチンさんも私に負けず劣らず、このシンフォニィが大好きなのだ。二人して歓声の連発だ。

それにしても少なくとも日中は、 晴れわたった青空というものはな く、常に白雲のシンフォニィなのを 不思議に思っていたが、マチンさんが解説してくれた。陽が高くなって温度が上がると草の露が蒸発して空に昇り雲となるのだと。広大な草原いっぱいの露が奏でるシンフォニィだったのだ。草原のロマンと言うべ きか。今夜の茅台酒(マオタイチュウ)が待ち遠しい。 あの小振りのガラスの酒器に入った茅台酒が。

おびつ りょういち

帯津三敬病院名誉院長。日本ホリスティック医学協会名誉会長。1936年埼玉県生まれ。61年東京大学医学 部卒業。東京大学医学部第 三外科医局長、都立駒込病 院外科医長などを経て、82 年帯津三敬病院を開設し院長。西洋医学だけでなく、中国医学、ホメオパシー、代替医療など様々な療法を駆使してがん診療に立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学の確立を目指している。 新刊は『毎日ときめいていますか?』(風雲舎)など。講演会、養生塾などの開催については、 http://www.obitsusankei.or.jp/ をご覧ください。


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