Music『サージェント ・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

〝いい音楽〟 の生命力は 永遠なり

文=立川直樹

 

目の前に並んでいるCDを見ると、 本当に凄いことになっているというの が偽らざる印象だ。

ビートルズの代表作のひとつで〝ポ ピュラー・ミュージックの金字塔に 輝く名盤〟といわれる『サージェン ト・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラ ブ・バンド』の 50 周年記念エディショを筆頭に、ドアーズの衝撃的なデ ビュー・アルバム『ハートに火をつけ て』の〈 50 th アニヴァーサリー ・デ ラックス・ジャパニース・エディショ ン〉、不朽の名曲「青い影」で知られるプロコル・ハルムのデビューから 50 周年を記念して作られた新作『乙女は新たな夢に』がまず並び、その次には5 月 12 日からロンドンのヴィクトリア &アルバート博物館で大規模な展覧会がスタートしたピンク・フロイドの 〝頭脳〟と言われるロジャー・ウォーターズの 25 年ぶりの新作『イズ・ディス・ザ・ライフ・ウイ・リアリー・ウォント?』、ビートルズやローリング・ス トーンズ、ザ・フーと並ぶブリティッシュ・ロックの重要グループ、キンクスの金看板であるレイ・デイヴィスの10 年ぶりのオリジナル・スタジオ・アルバム『アメリカーナ』が続くという、 ある世代の人達にとっては〝涙もの〟 といえるラインナップ。

僕は『サージェント・ペパーズ』の 50 周年記念エディションの発売に際して 依頼されたコメントを「 18 歳のロック少年にとっては衝撃というよりミラク ル・ワールドに連れていかれるような アルバムだった。総天然色のアートで ポップなアルバム。それが 50 年経っても全く色褪せていないことに驚きを禁じえない。ピカソやダリなどの作品と 並ぶ 20 世紀を代表するアート作品である。ここには永遠がある」とまとめた。

これまでにも幾度となく書いている ように〝いい音楽〟の生命力というの は永遠であり、それは亡きセルジュ・ ゲンズブールの曲をジェーン・バーキ ンが素晴しく質の高いオーケストラ をバックにカバーした『シンフォニッ ク・バーキン』や、ウディ・アレン監督が1930年代のハリウッドとニュー ヨークを舞台にゴージャスな大人のお とぎ話を描き上げた最新作『カフェ・ ソサエティ』のオリジナル・サウンド トラック盤や、『人生はビギナーズ』で 人気監督の仲間入りを果たしたマイ ク・ミルズが1979年夏のカリフォ ルニアを舞台に描いた母と子の物語で ある『 20 センチュリー・ウーマン』、 90 年代ポップ・カルチャーの代名詞として社会現象となった映画『トレインス ポッティング』の続篇として 20 年ぶり に登場した『T2トレインスポッティング』のオリジナル・サウンドトラック盤に共通している。

『20 センチュリー・ウーマン』の中で 何の違和感もなく同居しているルイ・ アームストロング&ヒズ・ホット・ファ イヴの「ベイズン・ストリート・ブルー ス」とトーキング・ヘッズの「ビッグ・ カントリー」。『T2トレインスポッ ティング』ではブロンディの「ドリーミン」とクイーンの「RADIO
GAGA」がつながっていて、完全にある時代へとフラッシュバックさせてくれ る魔法を味わうことができる。

僕のこうした思いが形になったとい えるアルバムを最後に紹介しておきた いと思う。

それは日本唯一のヴォーカリスト兼フリューゲルホルン奏者であるTOKUの最新作『SHAKE』。2015 年にフランク・シナトラの生誕百周年 を記念して作られたアルバム『DEA RMR.SINATORA』に続く もので、再びプロデューサーとして制 作に関わったが、天国にいるデヴィッド・ボウイがきっと微笑んでくれるだ ろうと思えるサウンド・プロダクションが抜群の「スペイシ・オディティ」以 下、ローリング・ストーンズやプリンス、レナード・コーエン……といった 素晴しいアーティストたちの名曲をS UGIZOや大黒摩季、シシド・カフ カをはじめとするゲスト人が加わって 作り上げた万華鏡のような音宇宙は時 空を超えた旅を楽しめる。是非聴いて欲しい。

ザ・ビートルズ
『サージェント・ペパーズ・
ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

50周年記念エディション

 

・1CD(SHM-CD)UICY-15602 2,600円+税
・2CD(SHM-CD)UICY-15600/1 3,600円+税
・2LP UIJY-75068/9〔直輸入盤仕様〕7,800円+税
・スーパー・デラックス・ボックス・セット 6枚組(4SHM-CD/ DVD/ブルーレイ)
〔完全生産限定盤〕UICY-78342 18,000円+税

発売元:ユニバーサル ミュージック

たちかわ なおき

音楽、映画、舞台、美術、出版など幅広いジャンルで活躍するプロデューサー&ディレクター。伊丹十三、篠山紀信、横尾忠則、久石譲、ピエール・バルー、ミック・ロック、和田誠、鋤田正義など各界のアーティストの映画音楽から展覧会までプロデュースを手がける。ジャンルをかけ合わせるメディア・ミックスやロックとオーケストラのコラボレーションなどでは独自の手法で高い評価を得ている。著書に『シャングリラの予言(正・続)』(森永博志氏との共著)、『セルジュ・ゲンスブールとの一週間』『父から子へ伝える名ロック100』『TOKYO1969』など多数の著書がある。


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