BRODWAY MUSICAL
きみはいい人、チャーリー・ブラウン
1950年の連載開始から70年の時を超えて世界中で読み継がれている、チャールズ・M・シュルツ著のコミック『ピーナッツ』。その『ピーナッツ』のキャラクターたちが歌って踊るミュージカルは、67年にオフ・ブロードウェイで初めて上演され、99年にはブロードウェイに進出した。日本では、過去に故・坂本九、小堺一機、市村正親らの出演で上演され、2017年にはシアタークリエに初登場、読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した直後の中川晃教がスヌーピーを演じるのが大きな話題となった。その際の弊誌でのインタビューで、「いよいよ人間以外の役を演じられるようになったのかと、役者冥利につきる思いで心が躍っている」との中川の発言が今でも思い出される。今回の再演では中川以外はすべて新キャストが組まれた。

チャーリー・ブラウンを演じるのは、ダンス&ボーカルグループDa-iCEのメンバーであり、ミュージカル『RENT』のマーク役を好演し、ミュージカル界に新しい風を巻き起こす存在と評判の花村想太。3月9日に南町田のスヌーピーミュージアムで開催された制作会見では、「チャーリーは不運がついてまわる男の子ですが、だからこそ「天気が良かったらそれだけで幸せ」といった、小さな幸せをしっかり噛みしめることのできる純粋な男の子」と役柄への理解を示したが、この言葉から、依然として大変な状況にあって窮屈な日常生活を強いられている世界中のすべての人々に届けたいという作品への思いが伝わってくる。今こそ「身近な幸せ」を感じられることが、いかに大事なのかというメッセージと響いた。ライナス役は、ミュージカル『刀剣乱舞』で人気を博し、2.5次元ミュージカル界で注目されている岡宮来夢。ルーシーには、AKB48を卒業後、ミュージカル『王家の紋章』など数々の舞台に出演し活動の場を広げる宮澤佐江。サリー役は、劇団四季のミュージカル『マンマ・ミーア!』のリサ役など、活躍が目覚ましい林愛夏が務める。シュローダー役は、『ダンス オブ ヴァンパイア』『キューティ・ブロンド』など、確かな存在感と実力で観客を惹きつける植原卓也が演じる。

そして、中川は今回もスヌーピー役を続投。制作会見で「『ピーナッツ』の世界観そのままの愛らしい日常が繰り広げられるミュージカルで、決して子ども向けのミュージカルではなく、大人だからこそわかる身近な幸せや小さな喜びが、子どもならではの鋭い視点で描かれます。おなじみのキャラクターたちが紡ぐエピソードに笑いながらも、ふと人生に思いを馳せる奥行さがあり、今、困難を強いられる世の中に生きていることで、一層身にしみ、心に響いてきます」と中川は、作品との4年ぶりの再会に、さらなる情熱を燃やしているようだった。そして、「いろいろなことに制限がある今、ライブエンタメには人の心に与えるパワーがすごくあるのだということを、お客様から教わっている感覚がある」と演劇の大きな力を信じる。ラストナンバー「ハピネス」が流れるとき、観客の心にも「幸せ」な思いが満ちてくるだろう。
原作:チャールズ・M・シュルツ著コミック『ピーナッツ』より/脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー/追加脚本:マイケル・メイヤー/追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ/訳詞・演出:小林香/出演:花村想太 岡宮来夢 宮澤佐江 林愛夏 植原卓也 中川晃教
〔公演期間〕3月30日(火)~4月11日(日)
〔会場〕日比谷シアタークリエ(東京都千代田区有楽町1-2-1)
〔料金(全席指定・税込)〕11,000円
〔問〕シアタークリエ03-3591-2400
https://stage.toho-navi.com/
大阪公演
〔公演日程〕4月15日(木)~18日(日)
〔会場〕サンケイホールブリーゼ
〔問〕ブリーゼチケットセンター06-6341-8888(11:00~15:00)
愛知公演
〔公演日程〕4月20日(火)
〔会場〕日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
〔問〕キョードー東海052-972-7466
長野公演
〔公演日程〕4月23日(金)
〔会場〕長野市芸術館メインホール
〔問〕NBS長野放送 事業部026-227-3000(平日10:00~17:00)