こまつ座 第135回公演
日本人のへそ
『天保十二年のシェイクスピア』『雨』『頭痛肩こり樋口一葉』『國語元年』『キネマの天地』『父と暮せば』『夢の裂け目』『ムサシ』『組曲虐殺』、そして現在PARCO劇場にて公演中の『藪原検校』など、井上ひさしの芝居は、その戯曲の完成度の高さから、観る者を一度で虜にしてしまう。そして、戯曲に記される日本語の深みと重みに魅了されてしまう。井上の演劇界デビューは1969年のこと。テアトル・エコー公演の『日本人のへそ』だった。喜劇、ミュージカル、日本語、推理劇、そしてどんでん返しの連続と、井上が好きなものをこの一作にすべて注ぎ込んだ、井上ひさしの劇作の原点と言われている。83年に作家・劇作家の井上ひさしが座付作家として立ち上げ、84年『頭痛肩こり樋口一葉』で旗揚げ以来、井上ひさしに関係する舞台を専門に作り続けているこまつ座で『日本人のへそ』が上演されたのは85年で、以降、92年、2011年と再演を重ねている。今回の公演は、東北へのオマージュを込めて東日本大震災以来の10年振りの上演となる。簡単に物語を紹介すると、吃音患者の治療をするために、東北の岩手から出てきて裸一貫でのし上がっていくヘレン天津というストリッパーの半生を、吃音患者たちが劇中劇で演じはじめる。その後物語はさまざまな様相を呈しながら急加速で展開していく。そして想像を遥かに超える驚きのどんでん返しが用意されている。観る者は、皮肉なセリフ、きわどい言い回しも制限されることのない、あくまでも自由な言葉の世界に微笑むだろう。

演出を手がけるのは、『國語元年』『黙阿弥オペラ』『雨』『組曲虐殺』など井上作品を数多く手がけている栗山民也。2012年には『日本人のへそ』の演出で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している(『雨』『ピアフ』の演出とあわせて)。出演者にも、『組曲虐殺』『ひょっこりひょうたん島』の井上芳雄、『それからのブンとフン』の小池栄子、『しみじみ日本・乃木大将』『日の浦姫物語』の朝海ひかる、『きらめく星座』の山西惇と、井上戯曲に魅せられた俳優たちが名を連ねる。
そして、『藪原検校』や『道元の冒険』などでも見られる言葉遊びのようなコーラスから始まる音楽劇という手法は、デビュー作から確立されていたことを知る。この〝日本人(にっぽんじん)による日本人(にっぽんじん)のための和製音楽劇〟という井上戯曲に魅せられた観客は、幕が下りてからも反芻するように芝居をなぞり、その余韻に浸ることになるだろう。

東京公演
〔公演日程〕3月6日(土)~28日(日)
〔会場〕紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(タカシマヤタイムズスクエア 南館8F)
〔料金(全席指定・税込)〕10,000円、学生割引7,000円※中学、高校、大学、各種専門学校、演劇養成所の学生の方対象
横浜公演
〔公演日程〕4月6日(火)18:30・7日(水)13:00
〔会場〕関内ホール 大ホール
〔料金(全席指定・税込)〕10,000円、学生割引7,000円※中学、高校、大学、各種専門学校、演劇養成所の学生の方対象
〔問〕こまつ座
03-3862-59415941https://www.komatsuza.co.jp/
大阪公演
〔公演日程〕4月1日(木)~4日(日)
〔会場〕新歌舞伎座
〔料金(全席指定・税込)〕S席(1・2正面)10,000円、A席(2階左右)8,000円、B席(3階)7,000円、特別席(2階最前列)12,000円
〔問〕新歌舞伎座06-7730-2121(平日11:00~16:00)
宮城公演〔公演日程〕4月10日(土)13:00
〔会場〕多賀城市民文化会館 大ホール
〔料金(全席指定・税込)〕10,000円※未就学児入場不可
〔問〕仙台放送 事業部022-268-2174(平日11:00~17:00)
名古屋公演
〔公演日程〕4月17日(土)13:00・18日(日)13:00
〔会場〕日本特殊陶業市民会館(ビレッジホール)
〔料金(全席指定・税込)〕10,000円、U-25チケット5,000円※U-25チケットはメ~チケにて前売りのみ取り扱い(観劇時25歳以下対象・座席数限定・当日指定席券引換・要本人確認書類)※未就学児入場不可
〔問〕メ~テレ事業052-331-9966(祝日を除く月~金10:00~18:00)