PARCO劇場オープニング・シリーズ
藪原検校(やぶはらけんぎょう)
『藪原検校』は、1973年にPARCO劇場(当時の名称は西武劇場)のオープニング記念として木村光一の演出で初演された井上ひさしの傑作舞台。演劇史に名を刻み、時代を超えて、蜷川幸雄、栗山民也といった演劇界の巨匠たちが演出を手がけ、その都度大きな話題となった演目である。今回演出を手がけるのは、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』や、木ノ下歌舞伎『勧進帳』などの演出で評判を呼んだ気鋭の若手演出家・杉原邦生。今回、劇中歌もすべて刷新し、新生PARCO劇場で、どのような相貌の『藪原検校』を甦らせるのか、すでに演劇ファンの心をワクワクさせているに違いない。そして今回、殺しと欲にまみれた栄華への道を上り始める主役の稀代の悪党・杉の市を演じるのは、歌舞伎を始めとする舞台だけではなく映像作品でも、人々の記憶に残る芝居を見せる市川猿之助。さらにV6のメンバーであり、俳優としても昨年の六本木歌舞伎『羅生門』が話題となった三宅健、映像作品でもさることながら、舞台にも意欲的に出演し、透明感と妖艶さとを合わせ持つ女人像を魅力的に演じる松雪泰子、ミュージカルからストレートプレイまで変幻自在に軽やかに演じる川平慈英など、新たな『藪原検校』に相応しいキャストが揃った。

2016年8月に渋谷PARCO建替えのために休館、約3年半の工事準備期間を経て、ようやく昨年1月に開場した新生PARCO劇場。「第二幕」ともいえる新たなシーズンの開幕と同時に、新型コロナウイルスの蔓延により、同劇場でも公演中止を余儀なくされた作品もあった。緊急事態宣言が解除され、劇場も活動を再開した際に、感染予防対策のために客席数を減らすなど制限つきではあったが、PARCO劇場で三谷幸喜作品を観た。この日を待ちわびた観客たちの顔はいずれも幸せそうだった。客席から喝采の声を届けることはできなかったが、それ以上に大きな拍手が劇場に響いた。芝居は不要不急なのだろうか。芝居が人々の心を潤し豊かにするのは間違いない。今はただ、すばらしい作品になる予感に満ちた『藪原検校』の上演機会が失われることなく、初日を迎えられることを祈るばかりだ。
作:井上ひさし 演出:杉原邦生 音楽・演奏:益田トッシュ
出演:市川猿之助 三宅健 松雪泰子
髙橋洋 佐藤誓 宮地雅子 松永玲子 立花香織 みのすけ/川平慈英
〔公演日程〕2月10日(水)~3月7日(日)
〔会場〕PARCO劇場(渋谷PARCO8F)
〔料金(全席指定・税込)〕13,000円、U-25チケット6,000円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書、当日指定席券引換/チケットぴあにて前売販売のみの取扱い)
〔問〕パルコステージ03-3477-5858(時間短縮営業中)https://stage.parco.jp/
■ 名古屋公演
〔公演日程〕3月9日(火)・3月10日(水)
〔会場〕日本特殊陶業市民会館・ビレッジホール
〔問〕キョードー東海052-972-7466
■ 石川公演
〔公演日程〕3月13日(土)・3月14日(日)
〔会場〕こまつ芸術劇場・うらら
〔問〕サンライズプロモーション北陸025-246-3939
■ 京都公演
〔公演日程〕3月18日(木)~3月21日(日)
〔会場〕京都芸術劇場・春秋座
〔問〕京都芸術大学 舞台芸術研究センター075-791-9207