new 21.06.10 update

関ジャニ∞大倉忠義、舞台で大竹しのぶと待望の初共演

COCOON PRODUCTION 2021
DISCOVER WORLD THEATRE vol.10

夜への長い旅路


 大竹しのぶはデビューの頃より、映像作品と並行して意欲的に舞台にも出演し、今や舞台女優としてもクリエーターの創作意欲を刺激し、観客に次回作を期待させる第一人者といえる存在であると見受ける。シェイクスピア、チェーホフ、テネシー・ウィリアムズ、井上ひさしなど国内外の劇作家たちの作品を、蜷川幸雄、野田秀樹、宮本亞門、栗山民也、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、松尾スズキといった才能豊かな演出家たちと組み、紹介し続けている。大竹しのぶが出演するというだけで、観てみたいとチケットを購入する人たちも多い。この人の舞台には、観る者をワクワクさせる媚薬のようなものがある。それゆえか、ときに〝怪優〟とか〝怪演〟とか、〝役が憑依した〟などという表現で、並々でないすごさが語られることもある。

 6月7日、待ちに待った大竹しのぶの新作が幕を開けた。昨年は、宮沢りえ、杉咲花らと共演予定だったチェーホフの『桜の園』が稽古も経て本番を迎える段になって、新型コロナウイルス蔓延に伴い全公演中止を余儀なくされ、芝居関係者のみならず、多くの演劇ファンたちを落胆させ、続く『女の一生』『フェードル』も一部が公演中止になったこともあり、今回の『夜への長い旅路』の初日を多くの演劇ファンたちが待ちわびていたに違いない。大竹にとって、『喪服の似合うエレクトラ』以来のユージン・オニールの作品で、演出は、大竹とは『地獄のオルフェウス』『欲望という名の電車』でもタッグを組み、大竹も熱い信頼を寄せるイギリス演劇界のトップランナー、フィリップ・ブリーンが手がけた。人間を深く見つめ、物語を繊細に紡ぎ出すことで定評があり、大竹も「フィリップの稽古場は、本当に発見が多くて楽しいです。どんな道を通ってもいつかは到達点に辿り着ける、そう信じて皆で旅をしているような感覚」と言う。ちなみに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、フィリップが来日できなかったため、稽古は演出家と稽古場をリモートで繋いで実施された。コロナ禍では、この手法がとられることも珍しくないが、リモートでは、どこかもどかしいところもあるのではなかったかと、苦労がしのばれる。

左から池田成志、大竹しのぶ、杉野遥亮、大倉忠義
撮影:細野晋司

 『夜への長い旅路』は2016年秋から〝海外の才能と出会う新たな視点で挑む演劇シリーズ〟としてシアターコクーンがスタートさせたDISCOVER WORLD THEATREの第10弾にあたり、これまでにも作品、プランナー、俳優など限定することなく『るつぼ』『罪と罰』『ハムレット』『十二人の怒れる男』などの作品を上演してきた。ユージン・オニールはノーベル文学賞などの輝かしい足跡を誇り、アメリカ演劇界にリアリズムを持ち込み定着させたと賞され、〝アメリカ近代劇の父〟と称される劇作家。『夜への長い旅路』は、この偉大なる劇作家の遺作であり、オニール自身の青春時代における、凄惨な家族の姿を描いた自伝劇といわれる。人間という存在を徹底的に解剖する独特の深く鋭い眼差しで真実の姿が描き出されている。

 戯曲冒頭にオニールが記した「血と涙で綴られた、古い悲しみの劇」というこの家族のスリリングな会話劇で、大竹が演じるのは、モルヒネ中毒に冒されて常に精神が不安定な母親。大竹は、「今回も精神を病みそうな作品で(笑)」と言いつつ、「頬に手を触れるとか肩にかけるといった繊細なト書きの一つひとつに、孤独と愛があふれていると感じます」と、濃密な芝居作りの幸せをかみしめているようだ。そして、共演者全員が大竹との共演にそれぞれの感慨をもち、稽古に臨んでいた。アルコールに溺れ、父親の脛をかじって放蕩を繰り返す長男には関ジャニ∞の大倉忠義。『蜘蛛女のキス』から4年ぶりの舞台となるが、大竹からは以前から「一緒に舞台をやりたいね」と声をかけられていて、念願かなってやっと実現したという。「しのぶさんと同じ舞台に立ちたい人は山ほどいると思うので、こんな素敵な場所に誘っていただけて本当にありがたいと思います。この作品にどっぷり浸かることで、自身のレベルアップにつなげていかなくては」と覚悟を新たにする。オニール自身が投影された結核を患っている次男には初舞台となる杉野遥亮。初舞台にして、シアターコクーンで、イギリス人の演出家のもと、大竹と共演するというコトの大きさにたじろぎながらも、フラットな気持で、「皆さんと稽古をする中で、演技とは芸術で、俳優とは芸術家なんだと学ぶことができました」と、素敵な経験を楽しんでいる。そして、アイルランド系移民で、金銭に対して異常な執着を持つ俳優の父には池田成志。つかこうへい、野田秀樹、いのうえひでのり、宮藤官九郎など、さまざまな劇作家、演出家の作品に数多く出演し信頼と高い評価を得ている池田だが、「大竹しのぶさんと舞台を…と声をかけていただき、嬉しさと同時に怖いなという気持がありました。本当に豹変してしまう、スゴい役者さんですからね」と言う。そして、演劇は多様であるべきで、昨年末の芝居とはまた180度違う舞台に参加できる幸せを噛み締めて挑んでいると意欲をみせていた。

 未見であるが、すでにチケットは購入している。大竹しのぶを始めとする役者たちが、いかに芝居を楽しみ、観客たちをどんな濃密な演劇の旅にいざなってくれるのか、楽しみである。


作:ユージン・オニール 翻訳・台本:木内宏昌 演出:フィリップ・ブリーン 美術・衣裳:マックス・ジョーンズ 出演:大竹しのぶ 大倉忠義 杉野遥亮 池田成志 土居志央梨

■ 東京公演
〔公演日程〕6月7日(月)~7月4日(日)
〔会場〕Bunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区道玄坂2-24-1))
〔料金(全席指定・税込)〕S席11,500円、A席9,500円、コクーンシート5,500円
〔問〕Bunkamura03-3477-3244


■ 京都公演
〔公演日程〕7月9日(金)~7月18日(日)
〔会場〕京都劇場(京都市下京区烏丸通塩小路下ル京都駅ビル内)
〔料金(全席指定・税込)〕11,500円
〔問〕キョードーインフォメーション0570-200-888



※小学生未満のお子様はご入場いただけません。
※劇場内では、必ずロビー、客席ともに常時マスクを着用ください。

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