BAR NAKAGAWA

 山根さんに、いいバーがありますよと教えてもらったのが向かいにあ る〈BAR NAKAGAWA〉。何度も前を通っていたのに、ついぞバーだとは気がつかなかった。白い外観の扉の奥には、想像もしない間が広がっていた。オーナーバーテンダー中川和博さんが2004年に オープンした、カウンター7席、個室のようなソファーのテーブル席1卓のバーだ。  

 めずらしいウェールズのシングルモルト〈ペンダーリン〉でフルー ティなハイボールを作ってもらった。「さわやかで、南国フレーバー が華やかな、こんなハイボール初めてです」と赤いベルベットにくるまれたシングルモルトのボトルを興味深く眺め、「きれいなボトルですね」 と松田さん。バックバーの最上段には、コニャック、アルマニャック、 カルバドス、グラッパと中川さんがきだというブランデーが整然と並ぶ。「ブランデーはフルーツを原料とした蒸留酒で、華やかさがあるから好きなんです」と中川さん。

 一番好きなのはシャンパンで、きれいな透明感のある酒が好きだとも。そこでブランデーベースの一番有名なカクテル〈サイドカー〉をお願いした。 飲みながら、松田さんは中川さんにウィスキーについていろいろと質問を始める。その一つひとつに楽しそうに答える中川さん。「バーでの楽しみの一つが、バーテンダーの方との会話なんです。プロの方の話を聞くのはなんだか豊かな気分になりますし、特にトリビア的な話というのはバーの会話という気がします」と、 すっかり腰を落ち着けた様子。

オフホワイトの壁、天井が低いので圧迫感を与えないように包み込んでくれるような弧を描く 天井にした空間のイメージは〝かまくら〟。椅子やオーディオなどはノルウェーやデンマークといった北欧製。暖色系の空間でオーセンティックなバーをやりたかったと言う。
31歳でこのバーを開いた中川さんが見せてくれたノートには、照明、音響、家具、壁の色、バックバー、バーカウンター、客のイメージから傘立てに至るまで、バーに対する思いが記されていた。

ブランデーが好きだと言うオーナーバーテンダーの中川和博さん。カルバドスだけでも15種類くらい置いてあるらしい。作ってもらったカクテル〈サイドカー〉は、コニャクベースにコアントロー、フレッシュレモ ンジュースをシェイクしたブランデーで一番有名なカクテル。グラスに 注ぐとき、中川さんは茶漉しを使った。漉すことによって、身体にスッと入ってくるそうだ。「入りやすいより、入ってみたい」と思われるバー でありたいと言う中川さんは、決して静かなバーをやりたいわけではない。ワイワイ楽しいのと、うるさいのとは違うと。「楽しくバー時間 を過ごしていただきたい」と。バーカウンターには2008年に亡くなった、グラッパの伝説的な造り手と言われるロマーノ・レヴィの空き瓶が並べられている。手に取り興味深げに眺めていた松田さんに「よろしかったら、お持ちください」と中川さんからプレゼント。ちなみに、今、 ロマーノ・レヴィのグラッパは一杯4,000円くらいするそうだ。大人の 時間は、朝4時まで続く。

[住〕渋谷区西原3-25-5ファインビル1階-B号室
〔問〕03-54530650 〔営〕19:00~翌4:00 〔休〕不定休

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