町の肉屋さんが作る
ドイツ製法のハム・ソーセージ
駅の北口においしい肉屋があると聞き、のぞいてみることにした。この地で46年間営業している「肉の伊勢屋」。28年くらい前から本場ドイツ製法でハムやソーセージを作って販売を始めた。オリジナル商品名は「ハウスメッツガー・ハタ」、畑肇さんは2代目だ。ハウスメッツガーとは、家庭の肉屋さんというような意味で、昔はどの家庭にも1羽の鶏を無駄なく使いきって調理する爺さんがいた、無駄なく使いきるというその心に倣って商品名とした。先ほどから興味深そうに北川さんが眺めているショーケースには、ハムやソーセージのほか、和牛ビーフジャーキーや和牛コンビーフ、パンチェッタなど数多くの品々が並ぶ。すべて手造りだ。

「このビーフジャーキー美味そう」と北川さんが呟くと、「少し切りましょうか」と言って畑さんが試食を用意してくれた。「美味い! 今まで食べていたビーフジャーキーと全然違います。燻製の香りが豊かで肉の甘味がありますね。初めての味ですよ」と興奮気味の北川さんに、たたみかけるように「レバーフライが揚がったので食べてみてください」と差し出す畑さん。

「いただきます。肉厚のレバーですね。これも美味い! レバーの臭みが全くないです。これならレバーが苦手な人でも食べられますよ。また、この甘めのソースがよく合いますね。ああ、ビールが飲みたくなってきた」と人懐っこい笑顔の目尻がさらに下がっていく。
「すぐ近くの工房でソーセージを作るところなんですが、よろしかったらいらっしゃいませんか」との畑さんのお誘いを受け、突然工房見学と相成った。


町の肉屋さんらしい小さな工房だ。ペースト状になったソーセージの種がみるみる長い羊の腸に注入され、くるっとひねってくびれをつけてソーセージの形になっていく。それを燻製機に入れる。「先に作っていたのが、もう少しでできあがりますから、食べてみてください」とまたまた試食にあずかることになった。熱々のできたてのソーセージだ。「子供のころのお菓子工場の見学みたいですね。お菓子ができる工程を見学して、お土産にお菓子をもらうような。できたてのソーセージを食べるなんて初体験です。まさに大人の修学旅行ですね」と北川さん。この店のソーセージやハムはここでしか買うことができない。「燻製の煙が届く範囲の方々にしか販売できないんですよ。やはり目配りが行き届く範囲でないと」という畑さんの言葉に町の肉屋の矜持を見た気がする。
肉の伊勢屋
ハウスメッツガー・ハタ
和牛ビーフジャーキー100g1,600円、和牛コンビーフ1 本200g入1,680円、伊勢屋ウインナー100g315円、ヴァイスブルスト100g315円、厳選国産豚バラ肉を独自のスパイスでつけこんだベーコン100g420 円、レバーケーゼ1 本580円、 ローストオニオンケーゼ1 本1,500円、生ハム100g1,000円など豊富な種類が並ぶ。他にレバーフライ1 枚180 円、ハムカツ180円、伊勢屋コロッケ100円、伊勢屋メンチ160円なども買い食いしたくなる美味さだ。
〔住〕川崎市多摩区登戸1856 〔問〕044-900-1934 〔営〕10:00~19:00 〔休〕日曜
*掲載時の内容ですので、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。