三輪亭 ペル ファミリエ

食文化の豊かさを楽しめる南チロル料理の店

 商店街はその町の顔でもあり、店を見て歩くのも散歩の楽しみの一つだ。横道を住宅街のほうへ入ってみることにした。閑静な家が立ち並ぶなかにイタリア国旗を見つけた。入口には〈クッチーナ チロレーゼ 三輪亭 ペル ファミリエ〉とある。南チロル地方の郷土料理を出すレストラン。南チロル料理がイタリア料理の一つだというのは初めて知ったが、チロル料理を看板にかかげている店はほとんど皆無だと、オーナーシェフの三輪学さんが教えてくれた。珍しがって食べに訪れるイタリア料理のシェフも少なくないそうだ。ランチタイムということで、席はほぼ満席。ほとんどが地元の常連客らしい。

 三輪さんは料理修業で一年半ほどイタリアにいたなかの、一年をチロル地方で過ごした。肉料理を修業したかったのと、本場の家庭料理が味わえる店を日本で開きたいと思っていた三輪さんにチロル料理がフィットしたのだ。


 三輪亭でしか食べられないということで人気のチロルパスタランチをいただく。ジャガ芋と豚の軟骨のコンフィのサラダ仕立て、チロルでポピュラーなスペックと呼ばれる燻製した生ハム、ホウレン草などが入ったイタリア風オムレツのフリッタータ、さつま芋入りチロル風コロッケ、人参のムースなど8種類ほどの盛り合せが見た目にも食欲をそそる前菜盛り合せ。

「豪華でボリュームがありますね。それに知らない料理が多いのも楽しいし、同じイタリア料理でもずいぶんと違うんですね」と熱心に三輪シェフの料理の説明に耳を傾ける高橋さん。

 続いて登場したのは2種類のパスタ料理。スパゲティなどとは全く趣の違うパスタに思わず「これ、パスタですか?」と高橋さんも驚きの表情。チロル地方では、日本の青森や長野に近い農産物が収穫されるらしく、パスタに使われるのはソバ粉やライ麦で、ショートパスタしかできないのだ。細かく刻んだパンに卵、野菜のペーストや生ハムなどを入れダンゴ状にしたのが〈カネーデルリ〉でスープ仕立てになっている。また生地に野菜を練りこんだ細かい形状の〈スペッツレ〉は豚肉のミートソースをからめていただく。

「食文化って奥深いですね。こんなパスタを食べた
のは初めてです」とチロル料理との出会いを喜ぶ高橋さん。


 メインディッシュとしてご自慢の肉料理も食べてみたくなった。「南チロル料理というのは保存食とスープの料理で、肉料理やパンも保存食の一つです。生ハムも燻製が特徴的で、香辛料をよく使います」と出されたのが〈グーラッシュ〉という牛肉の赤ワイン・パプリカ煮込みで、ジャムのように煮詰めた赤キャベツをつけながら食べるのが本場スタイル。

「なんだか、カレーと福神漬のような関係ですね」という高橋さんに、「その通りなんです。他のイタリア料理と違うという意味でユニークなのが、クミン、マジョラム、パプリカなどのスパイスを多用する点です」と教えてくれる三輪さん。

 目指すは、子供からおじいちゃん、おばあちゃんのいずれの世代の人にも食文化の奥行きを楽しんでもらえるレストラン。その思いは店名に添えられている〈ペル ファミリエ=家族のために〉という言葉に託されている。自分の家族、スタッフの家族、そして客の家族、すべての家族が幸せになれるようにという思いだ。だから、住宅街のレストランであり、南チロル料理なのか、と合点がいった。


 おすすめは前菜盛り合せ、南チロルのパスタ2 種、デザート、カフェのチロルパスタランチ2,300 円。それに選べるメインディッシュを加えたCランチ3,200 円も人気だ。メインの肉料理には、皮付き豚ばら肉のコンフィバイエルン風ビールソース、ヴァイスヴルストのボイル(ドイツ食肉マイスター直伝オレンジ風味の自家製白ソーセージ)などがある。また、家族で食事を楽しめるようにとKidsメニューが用意されているのも〈ペル ファミリエ〉ならでは。

〔住〕世田谷区豪徳寺1-13-15ツノダ第1ビル1F
〔問〕03-3428-0522
〔営〕lunch11:30 ~ 14:00L.O.、tea14:30~ 1 5:3 0L.O.、dinner1 8:0 0 ~ 2 1:0 0L.O.(ご予約に限り土曜・日曜・祝日は17:30~)
〔休〕水曜・不定休

*掲載時の内容ですので、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

サントリー美術館様

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