25.10.10 update

【秋のお出かけ情報】大人の美術館巡り②(上野公園界隈)

 「上野公園」は正式名称は「上野恩賜公園」であるが、通称「上野の山」と呼ばれ、自然豊かな都会のオアシスとして親しまれている。広大な敷地には、美術館や博物館、動物園など文化施設が点在している。世界でもパリやアメリカのスミソニアンのように美術館が多い都市は数多あるが、ごく狭い範囲に方向性の違う施設が集まっている上野は世界的にみても稀だ。

国立科学博物館 特別展「氷河期展 ~人類が見た4万年前の世界~」 10月13日(月・祝)まで
 現代よりもはるかに寒冷だった4万年前の氷河期は、人類やマンモスなどの巨大な動物たちが共に生きていた時代だ。その中には絶滅したものもいれば、生き残ったものもいる。本展では、この時代を生きた動物たちや人類について解説し、その命運を分けた氷河期の謎に迫る。氷河期を生きたネアンデルタール人とクロマニョン人(ホモ・サピエンス)その実物の頭骨が日本初上陸。氷河期を生きた巨大動物の大きさを体感できるまたとない企画展。閉幕間近、見逃せない!


【住所】東京都台東区上野公園7-20
【開館時間】10月10日(金)~13日(月・祝)は、9:00~19:00
【HP】https://hyogakiten.jp/


東京都美術館 「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」12月21日(日)まで

 世界中で愛されるゴッホの生涯と作品の陰には、彼の死後、作品と業績を守り続けた家族の尽力あった。これまで多くのゴッホ展が開催されてきたが、本展はファミリー・コレクションに焦点をあてた展覧会。ゴッホの作品は、弟のテオが保管していたが、テオも兄の死後半年で後を追う。それを引き継い継いだのが妻のヨーと息子のウィレムだった。ウィレムはコレクションの散在を防ぐため財団を設立し、美術館の設立に尽力する。ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ゴッホが収集した他の画家の作品や日本公開初となるファン・ゴッホの貴重な手紙4通も展示される。


【住所】東京都台東区上野公園8-36
【開館時間】9:30~17:30 金曜は20:00まで 
土日、祝日および12月16日(火)以降は日時指定予約制。
【休室日】月曜、10月14日(火)、 11月4日(火)、 11月25日(火)
※10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・休)は開室
【HP】https://www.tobikan.jp/


東京国立博物館 本館特別5室 特別展「運慶  祈りの空間─興福寺北円堂」 11月30日(日)まで
 運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える貴重な例である興福寺北円堂は通常非公開であるが、修理完成を記念して弥勒如来坐像が約 60 年ぶりの寺外公開となる。本展は、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像に加えて、かつて北円堂に安置されていた可能性の高い四天王立像を合わせた7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる貴重な展覧会である。国宝7軀のみで構成された至高の空間を堪能したい。

【住所】東京都台東区上野公園1-3-9
【開館時間】9:30~17:00
【休館日】10月14日(火)、20日(月)、27日(月)、11月4日(火)、10日(月)、17日(月)、25日(火)
【公式サイト】:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/unkei2025


上野の森美術館 「正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―」11月9日(日)まで

 宮内庁正倉院事務所監修のもと、巨大スクリーンに映し出される超高精細映像と、1300年前の正倉院宝物の姿を再現する「再現模造」を組み合わせた展示により、宝物の美に包まれることだろう。また、史上初の再現展示となる織田信長らが熱望した幻の名香「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りや、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」といった宝物の実物を奏でた音色などを通じ、正倉院が紡いだ1300年の奇跡を全身で体感できる展覧会である。


【住所】東京都台東区上野公園1-2
【開館時間】10:00~17:00
【休館日】会期中無休
【公式サイト】:https://shosoin-the-show.jp/tokyo/


東京藝術大学大学美術館 「藝大コレクション展2025 名品リミックス!」 11月3日(月・祝)まで
 東京藝術大学は、その前身の東京美術学校の開校前から135年以上にわたり、学生の学びに役立つものを古今東西を問わず収集するという方針のもと作品や資料の収集を進めてきた。そのなかには、歴代の教員や学生の作品、教材なども数多く含まれており、現在では約3万件を超える充実したコレクションとなっている。
「藝大コレクション展2025」では、《絵因果経》や《小野雪見御幸絵巻》、尾形光琳《槙楓図屏風》などの古画の名品をはじめ、橋本雅邦《白雲紅樹》、令和5年度に修復を終えた高橋由一《花魁》などの近代美術の代表作、彫刻家・平櫛田中(1872−1979)が学生教育のために蒐集した「平櫛田中コレクション」、退任する教員が今後の教育・研究への貢献を願って寄贈した作品、そして収蔵後、初公開の令和の新コレクションが紹介される。

【住所】東京都台東区上野公園
【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】:月曜日、10月14日(火)
※ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館
【東京藝術大学大学美術館 公式サイト】 https://museum.geidai.ac.jp


予告
国立西洋美術館 「オルセー美術館所蔵 印象派─室内をめぐる物語」 10月25日(土)~2026年2月15日(日)
 印象派というと、戸外の景色を描いた作品が思い浮かぶが、本展では「室内」をテーマにした印象派のもうひとつの魅力が紹介される。マネ、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌらの優品が勢ぞろいする。特筆したいのは、ドガの代表作で室内にひそむ家族のドラマを描いた《家族の肖像(ベレッリ家)》が初来日する。あわせて、国立西洋美術館やフランス・シヴェルニーの印象派美術館のほか、国内外に所蔵される重要作品も一堂に展示される。


【住所】東京都台東区上野公園7-7
【開館時間】9:30~17:70(金・土曜は20:00まで)
【休館日】月曜、11月4日[火]、11月25日[火]、12月28日[日]-2026年1月1日[木]、1月13日[火] (ただし、11月3日[月・祝]、11月24日[月・休]、1月12日[月・祝]、2月9日[月]は開館)
【公式サイト】:https://www.orsay2025.jp




新着記事

  • 2025.11.14
    【冬のお出かけ情報】③ 国立西洋美術館の冬の風物詩...

    11月26日~12月25日

  • 2025.11.14
    2027年秋頃の再開業を発表した、「箱根ハイランド...

    2027年秋が待ち遠しい

  • 2025.11.14
    世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルのメンバ...

    ウィーン・フィルの文化交流

  • 2025.11.14
    『国宝』をはじめ、カンヌが認める世界最前線の傑作を...

    12月12日(金)~25日(木)

  • 2025.11.13
    2026年40周年を迎えるサントリーホールが「この...

    サントリーホール40周年

  • 2025.11.13
    森山加代子「月影のナポリ」は60年代に洋楽ポップス...

    森山加代子「月影のナポリ」

  • 2025.11.12
    『川井徳寛―猫礼賛祭壇画―』骨董通りの現代アートギ...

    11月5日(水)~29日(土)

  • 2025.11.12
    【哀悼】亡き仲代達矢さんの演劇人としての原点、劇団...

    〝モヤ〟と呼ばれた仲代達矢

  • 2025.11.11
    ロッセリー二監督の『ドイツ零年』とゴダール監督の『...

    12月20日(土)~

  • 2025.11.10
    【冬のお出かけ情報】② 冠雪の富士山が映える、冬に...

    全国的にも珍しい絶景

映画は死なず

特集 special feature  »

<特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

特集 <特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

特集 松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!