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映画『カツベン!』の仲間たち

周防正行 成田 凌

 

 

『舞妓はレディ』から5年ぶり、「待ってました!」とばかり 周防正行監督の最新作『カツベン!』が 12月13日に公開される。
映画がモノクロ、サイレントの時代、映画を活動写真と呼んでいた日本には台詞や内容を個性的なしゃべりで〝語る〟活動弁士がスターとして存在した。観客は、この〝カツベン〟の語りにより映画に引き込まれていった。
映画『カツベン!』では、ホンモノの活動弁士に憧れる青年を主人公に、 日本で映画がどのように始まったのかが描かれる。そして、活動弁士の存在こそが、欧米のいずれの映画とも違う
日本映画独自のスタイルを生む、日本映画発展の第一歩だと監督は言う。
監督、そしてオーディションで主役を射止めた俳優・成田凌。
映画への熱い思いが、世代を超えた2人を同志としてつなぎあう。

文=二見屋良樹 撮影=言美 歩

配信されたものをスマホで観るという
映画の定義が変わる時代に
日本映画発展の第一歩を描きたかった

 

 
  およそ100年前の大正時代、日本では映画が活動写真と呼ばれ、まだ録音を伴わない映像だけの無声映画を、楽士による音楽とともに、台詞や物語を独自のしゃべりで語って聞かせる活動弁士が人気を博した。周防正行監督の最新作『カツベン!』は、活動弁士に憧れる青年が主人公の青春活劇である。活動弁士は、日本固有の語り文化から生まれた当時スターだった。

「日本での映像文化というのは、語りとともに観客の支持を得たというのが、極めて特異なんです。『平家物語』を弾き語る琵琶法師、浄瑠璃、講談、浪曲、落語、紙芝居と、日本は語り芸のジャンルの幅が広く、活動弁士も〝もの語り〟という日本独自の文化の自然の流れから生まれたのだと思います」

  活動弁士に憧れる〝七色の声〟を持つ主人公を演じるのは成田凌。黒島結菜ともどもオーディションで選ばれた。

「監督からも、しゃべり方を指導してくださったプロの活動弁士の方からも、口をそろえて言われたのは自信を持ってくださいということでした。活動弁士は当時のスターですから。そしてひたすら声を大きくと」

「プロの活動弁士として、しゃべりを完璧にするということ以外は本人のキャラクターで成立する役だと思っていましたが、結果、成田さんのお茶目なところ、はじけるという感じが役に反映されていましたね。愛すべきキャラクターになってくれました。観客も成田さんの役に寄り添って映画を観てくださるだろうなと感じました」

  監督は活動弁士の存在を通して日本映画発展の第一歩を描きたかったと言う。

「大正時代の中期に、日本映画はどう撮っても活動弁士が語りで説明しちゃうから、映画の技術が上がらない。そこで活動弁士はいらないという運動が起こるんです。でも、溝口健二監督や小津安二郎監督も、活動弁士が台詞や内容を解説して上映するんだという前提で、そうじゃない上映はあり得ない状況で、無声映画を作り続けます。小津さんは『生れてはみたけれど』のような、まったくの無音で観ていても、すばらしく完成度の高い映画を作っています。小津さんは後年、「説明は下衆だ」と言っていましたが、それは説明的な芝居や台詞のことだと思っていました。しかし活動弁士の説 明も含まれていたのかもしれません。もしかしたら活動弁士の説明を聴きながら、カツベンがなくても成立する映画を作ろうと思ったのかもしれません。それが、小津映画のスタイルにつながったのではないかと想像できます。

……続きは、Vol.41をご覧ください。

すお まさゆき
映画監督。1996年の『Shall we ダンス?』は 日本アカデミー賞で、作品賞、監督賞をはじめ最優秀賞を13部門で独占。監督作品に『ファンシイダンス』『シコふんじゃった。』(日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞など)、『それで もボクはやってない』(キネマ旬報ベスト・テン 1位)、『ダンシング・チャップリン 』『終の信託』 (毎日映画コンクール日本映画大賞)、『舞妓はレディ』などがある。草刈民代と高嶋政宏による二人芝居『プルガトリオ-あなたと私のいる部屋-』(10/4~10/14 東京芸術劇場シアターウエスト)では脚色を手がける。

なりた りょう
雑誌「MEN’S NON-NO」の専属モデルとして 活動すると同時に、俳優としてもドラマ 、映画の話題作に出演し、本年日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な映画出演作に『キセキ-あの日のソビト-』『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ 緊急救命-』『ビブリア古書堂の事件手帖』『スマホを落としただけなのに 』『翔んで埼玉』『愛がなんだ』『さよならちびる』『人間失格 太宰治と3人の女たち』など。今後、『糸』『窮鼠はチー ズの夢を見る』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』などの公開が控えている。
ヘア &メイク:宮本愛(yosine.) スタイリング:伊藤 省吾(sitor) ジャケット、ベスト、タートルネック Tシャツ、パンツ衣裳協力:スズキ タカユキ

『 カツベン!』

 

12月13日(金)丸の内TOEIほか全国ロードショー
監督:周防正行/脚本・監督補:片島章三
出演:成田 凌、黒島結菜、永瀬正敏、 高良健吾、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊 ほか
配給:東映 ©2019「カツベン!」製作委員会


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