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表紙で振り返る「コモレバ」の10年(前編)

映画と舞台の話で
もりあがった
夢の時間

第9号
有馬稲子&藤本隆宏
(2011年9月)

 第9号は有馬稲子さんの登場。撮影所育ちの女優は、誰よりも早く撮影場所のホテルに到着。ご持参のチョコレートをご馳走になった。有馬さんご指名の相手役は俳優の藤本隆宏さん。藤本さんは、学生時代に水泳選手としてソウル、バルセロナと2度オリンピックに出場している。大学卒業後、劇団四季の研究生として俳優業をスタートさせた。お2人の出会いはプールだった。藤本さんが役者志望と知ると、藤本さんのために「さまざまな場やチャンスを用意してくれ、惜しむことなく仕事に繋がる人たちを紹介してくださった」と藤本さんは有馬さんを恩人だと言っていた。そんな藤本さんのたたずまいから有馬さんは「誠実と威厳をもって海に生きる男、海軍軍人の役」をイメージしていたと言う。その後、ドラマ「坂の上の雲」で海軍中佐広瀬武夫を演じ注目されることになった藤本さんのキャリアを思い浮かべると、有馬さんにはプロデューサーとしての眼もあったのかと感じ入ったことが思い出される。思い描いていたまま、有馬さんは「情熱」と「知性」の女優だった。


同窓会のような
撮影現場だった
司葉子&夏木陽介

第10号
司葉子&夏木陽介
(2011年12月)

第10号の表紙は司葉子さんと夏木陽介さん。共に東宝撮影所で青春を過ごした同志のような間柄だ。司さんに依頼をさしあげるため見本誌として既刊の弊誌をお送りしたところ、「みんなきれい!こんなにきれいに撮っていただけるのなら、ぜひ」と快諾していただいた。撮影前には司さんご本人から何度か電話があり、「衣装はピンクとブルーとどちらがいいかしら」「手袋はどうしようかしら」などと嬉しい相談を受け、プロフェッショナルの女優としての仕事に向き合う姿勢のようなものを見せられたと感じたものだった。かと思うと、楽屋見舞いにうかがった折には、差し入れのお弁当をその場で開けて食べる、お茶目なところもある。司さんに対する夏木さんの第一印象はオードリー・ヘプバーンで、時を経て年一回、東宝のスタッフや俳優が集まる同友会で会うと、今でも胸がキューンとなる、と夏木さんは告白する。司さんに捧げる夏木さんの文章を読んで「夏ちゃんにこんな文才があったなんて、全然知らなかったわ」とびっくり。2018年に亡くなった夏木さんを送る会でお会いしたとき、当時の表紙の写真を見て、司さんは寂しそうな笑顔を見せた。美しかった。

次回は、若尾文子さんから始めることにしましょう。

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