21歳で逝った和製ジェームズ・ディーン 赤木圭一郎

 トニーの魅力が存分に楽しめる映画といえば、船員に憧れていたトニーが海の男を思い切り演じて、主題歌もヒットさせた、前回紹介した芦川いづみと共演した『霧笛が俺を呼んでいる』(昭和35年)だろうか。偏愛的におススメするとしたら、裕次郎との初共演作ということで『清水の暴れん坊』(昭和34年)も観ておきたい。そして、昭和30年代から40年代にかけて映画ファンの胸をときめかせた華麗なる日活アクション映画のアンソロジーとして、ハードボイルド作家の矢作俊彦が構成・脚本・監督を手がけた『アゲイン AGAIN』(昭和59年)。殺し屋・ジョー(宍戸錠)が案内人としてかつての良きライバルたちを訪ね歩くという構成で、セレクトされた37本の映画からアクションの名シーンや、愛のみに殉じるヒロインたちとの出会いと別れのシーンなどが紹介される。ここではさまざまな映画でのトニーに出会うことができる。

 裕次郎が演った石坂洋次郎原作の映画『陽のあたる坂道』や『あいつと私』をトニーが演ったらどんな感じだっただろう、30代のトニーはどんな映画に出ていただろう、などとつい詮無いことを考えたりしてみる。峰岸徹が峰健二の芸名でデビューした頃、その風貌から〝赤木圭一郎の生き写し〟と言われていたのを思い出すが、その峰岸徹もすでに鬼籍の人である。赤木のプロマイドは、その死後7年経った昭和43年にも、男性部門の売り上げ10位内に入っている。いずれのプロマイドもカッコいい!! 赤木圭一郎は昭和30年代の日本映画界を颯爽と駆け抜けた、まぎれもないスターだった。

文:渋村 徹(フリーエディター)

プロマイドのマルベル堂
大正10年(1921)、浅草・新仲見世通りにプロマイド店として開業したマルベル堂。2021年には創業100年を迎えた。ちなみにマルベル堂のプロマイド第一号は、松竹蒲田のスター女優だった栗島すみ子。昭和のプロマイド全盛期には、マルベル堂のプロマイド売上ランキングが、スターの人気度を知る一つの目安になっていた。撮影したスターは、俳優、歌手、噺家、スポーツ選手まで2,500名以上。現在保有しているプロマイドの版数は85,000版を超えるという。ファンの目線を何よりも大切にし、スターに正面から照明を当て、カメラ目線で撮られた、いわゆる〝マルベルポーズ〟がプロマイドの定番になっている。現在も変わらず新仲見世通りでプロマイドの販売が続けられている。

マルベル堂 スタジオ
家族写真や成人式の写真に遺影撮影など、マルベル堂では一般の方々の専用スタジオでのプロマイド撮影も受けている。特に人気なのが<マルベル80’S>で、70~80年代風のアイドル衣装や懐かしのファッションで、胸キュンもののアイドルポーズでの撮影が体験できるというもの。プロマイドの王道をマルベル堂が演出してくれる。
〔住〕台東区雷門1-14-6黒澤ビル3F

読者の皆さまへ

あなたが心をときめかせ、夢中になった、プロマイドを買うほどに熱中した昭和の俳優や歌手を教えてください。コメントを添えていただけますと嬉しいです。もちろん、ここでご紹介するスターたちに対するコメントも大歓迎です。

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