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芦ノ湖畔の「小田急 山のホテル」の[シャクナゲ]が、「日本植物園協会ナショナルコレクション15号」に認定、記念イベントも開催

 本年5月15日に開業75周年を迎える〝小田急 山のホテル〟。5月になると広大な庭園に約3000株のツツジとそれと前後して約300株のシャクナゲが咲きほこり、華やかな彩りとともに甘い香りに包まれる。

▲30の古品種を含む84種類のツツジ、42種類のシャクナゲが庭園を彩る。

 ご承知の通り、小田急 山のホテルは、三菱財閥4代目総帥の岩﨑小彌太男爵が1911年(明治44)に建てた別邸だった。男爵はそこにツツジ庭園とシャクナゲ庭園を造った。その美しさを記録として残すべく、富士山を望むツツジ園の絶景を、風景版画家の第一人者である川瀬巴水に制作を依頼した。

 山のホテルを訪れた方は館内にある巴水の版画を目にすると、制作当時の1935年(昭和10)と変わらないことに感動を覚えるのではないだろうか。天候や土壌の変化に左右される庭園の花々は細やかな手入れが欠かせない。その美しさを維持するのは並大抵のことではないだろう。特に2014年(平成26)の大雪をきっかけに、このままの手入れだけでは、100年先までもこの景観を維持することは難しいと判断し、翌15年に、庭園プロジェクト「男爵の100年ツツジ100年先への挑戦」を立ち上げたのである。ツツジ・シャクナゲの研究者である倉重祐二氏による品種調査を行いデータ化に取り組む。貴重な品種を挿し木や接ぎ木により増やし、さらに土壌改良も行い、100年後を視野に入れた管理を行ってきた。

▲「ナショナルコレクション認定制度」は、秋篠宮皇嗣殿下が総裁を務められ、公益法人日本植物園協会が2017年に創設した制度で、「野生種、栽培種にかかわらず、日本で栽培されている文化財、遺伝資源として貴重な植物を守り後世に伝えていくこと」を目的とした植物コレクションの認定、保全の制度である。

 その成果の証に、2022年には庭園のツツジが「日本植物園協会ナショナルコレクション第10号」に、本年3月17日には、シャクナゲも「日本植物園協会ナショナルコレクション第15号」に認定されたのである。

▲写真は、環境省の絶滅危惧種に選定されている野生種の「キョウマルシャクナゲ」。明治から大正時代につくられた日本の最初のシャクナゲ園であり、種類および庭園的価値が高いことが認定の理由になった。

 本年は、「後世に残すべき植物遺産」と認定を受けた庭園を一般開放し、ホテル開業75周年を記念した写真展や講演会のイベントが実施される。

 箱根写真美術館の館長であり、カメラマンでもある遠藤桂氏が30年以上にわたって撮り続けてきた幻想的な富士山の写真の展示(4月26日~5月18日)をはじめ、館長の祖父である山田應水氏の撮影した古写真も展示される。

 併せて、遠藤館長による写真の撮り方のセミナー(5月9日)や、日本植物園協会専務理事の倉重祐二氏による講演会(5月8日)も開催される。

 また、庭園散策のあとは、山のホテル直営レストランの「サロン・ド・テ ロザージュ」では、ツツジの開花にあわせた期間限定デザートが登場する。庭園散策の後は、優雅なティータイムを愉しみたい。
お問い合わせは、小田急 山のホテル(℡.0460-83-6321)

 

 

 

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