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お客様の協力なしでライブハウスの維持はできません

マスクをつけ大声を出さず
飛沫を防ぐことが第一

――ライブハウスって換気が悪いのではとイメージしたり、シャウトするミュージシャンや歓声をあげる客による飛沫が怖いと感じている人も少なくないと思われますが。

加藤 ライブハウスでの感染予防対策で気を配るのは、やはり歓声を控え大声を出さないことに協力していただくこと、それと密にならないようにお客様同士のディスタンスをしっかりと確保するということですね。ライブハウスはスタンディングが多いですが、床に足跡マークをつけるなどということは予防対策として意識して実施しています。

――明日9月19日から大声での歓声や声援がないことを前提とした制限の見直しが実施されるとうかがっていますが、ライブハウスにも適応されるのでしょうか。

加藤 今まさに、厚労省ともやりとりをしていますが、今回の見直しで、大声での歓声がないと想定される映画、演劇、古典芸能、クラシックコンサートなどでは、収容人数が100パーセント以内という制限の緩和が見込まれます。お客様の位置が固定され、お客様が声援を送ったりしない、静かに鑑賞するという条件を満たして100パーセントが許されるんです。実はライブハウスも、すべてのライブが叫んだり、大声で歌ったり怒鳴ったりしているわけではなくて、静かに聴いている公演もたくさんあるんですよ。弾き語りだとか、アコースティックな演奏だとか。それに関しては、決して適用外ではないと思うんです。いままさに、検討されていて、きょう答えがでるのかどうかということですけどね。

――下北沢の<Flowers Loft>で言えば、キャパはスタンディングが200、椅子が80席、バーラウンジが30席ですが、現在の入場者数上限はどのようになっているのでしょうか。

加藤 人と人との間隔は最低1mを要すると、ガイドラインにはあるんですよ。それに基づいての入場者数ということになりますが、恐らくいずれのライブハウスでも従来の30パーセント以下の集客数にしかならないですね。今がその状態です。それが19日からの改定では1m空けるという項目がなくなるので、ライブハウスの場合は50パーセントまでは許されることになります。この20パーセントは大きいです。もちろんお客様がマスクを着用したり、密集しないことが前提です。30パーセントだと、むしろ営業しないほうがいいかなという感じで、50パーセントになると、それでもまだ厳しいですが、プラスでオンライン配信を同時にやれば何とか成り立たせることができるのではないかというところですね。(※9月19日からの改定で、ライブハウスでも入場者数の緩和が認められている)

――今も続くコロナ禍にあって、改めて何が大事だと考えますか。

加藤 日々増減を繰り返している、伝えられる都内の新規感染者数を見ても、今後さらに厳しい状況も考えられるわけですから、気を抜くことなくいかにさらなる安全対策を考えていくかということが大事だと思います。冬に向かって次なる大きな波が訪れても、また緊急事態宣言が発出されることはあまり考えられないと思うんですよ。経済的に日本政府自体が耐えられないし、庶民の生活が立ち行かなくなる。大企業にしても街の飲食店にしても。だから、それに備えてどこまで対策を講じることができるのかをすべての業界が、今考えるべきだと思います。

                    ★

新宿Loftは1976年に小滝橋通りにオープンしたが、99年に現在の歌舞伎町に移転した。ロフトプロジェクトの旗艦店であり、いわば本丸といった存在。フジファブリックも何度も出演している。写真はコロナ以前、2018年のライブの模様
新宿にあるTALK LIVE HOUSE<LOFT/PLUS ONE>のソーシャルディスタンスを配慮した
座席の様子。

加藤 映画や演劇もそうですが、音楽そしてそれを発信する場所としてのライブハウスがやはり生活に欠かせないと感じている人たちって、少なからずいると思います。だから、映画館、劇場、ライブハウスといったそんな場所をどうやったら残せるか、守れるかということを一緒に考えてほしいなと思っています。そういった方々の協力が絶対に必要です。ガイドラインだって、ライブにいらっしゃるお客様一人ひとりに守っていただかなければ公演を続けていくことはできない。もし、マスクをしたくないというお客様がいらしたら、残念ながらお帰りいただかなければいけない。お客様の協力なしには成り立たないです。その場にいる人全員がきょうのライブをどうしたらみんなが安心して、安全に楽しめるかということを考えて、参加してもらえると、ライブハウスもなくなることなく維持していけると思います。


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