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クラウドファンディングで届いた映画を愛する人々の熱い想い

クラウドファンディングで
目標金額の2倍以上の支援金が集まりました

――クラウドファンディングを実施なさったのは6月19日からだとうかがいましたが、ずいぶん遅いスタートでしたね。

久保田 もともと館主の加藤が、映写機の保存活動などをしている関係で、資金を集める手段としてクラウドファンディングについて専門家の方々に教えを受けたり勉強はしていました。それで、今回もすぐにやろうかという話をしていましたが、緊急事態宣言で外出自粛要請が続く中、閉館の危機にさらされている全国の小規模映画館「ミニシアター」を支援するために映画監督の深田晃司監督(『よこがお』)、濱口竜介監督(『寝ても覚めても』)が発起人となって立ち上げたミニシアター・エイド基金のクラウドファンディングが4月13日にスタートしたので、当館独自のクラウドファンディングはその時点では見送ったんです。ミニシアター・エイドの反響はすさまじく、4月15日には100館に100万円ずつという目標金額の1億円を突破したんです。(※)当館も分配金をいただきました。それと並行して個々の映画館でもクラウドファンディングを実施している映画館はありましたし、監督さんたちからも同時にやってもいいと、おっしゃっていただいていましたが、まだ実施には踏み切れませんでした。

※1億円の目標金額を突破してからは、さらなる劇場支援のための3億円超えのストレッチゴールを設定し、5月15日の終了時までに、2万9926人から、総額3億3102万5487円の支援が寄せられ、全国118劇場・103団体へ1団体あたりの平均額約303万円が分配された。

――その後独自にクラウドファンディングを実施することがやはり必要だったわけですね。

久保田 まだまだ先の見えない状況が長引いてきて、その時点では何とかなっていても現実に今もそうですがこの先さらに長引くと営業を再開しても従来通りの営業はできない状況で、そういった先々までのことを考えると、このままではもたないと。やはりクラウドファンディングを実施しようと専門家の方にもご相談したところ、ちょっと遅いんじゃないのというお話もありましたが、ここは頑張ってやってみようということで劇場再開後の6月19日にスタートしました。映画館がやっているクラウドファンディングの中で、最後発くらいだったのではないでしょうか。

――目標金額は1千万円でしたが、結果はいかがでしたか。

久保田 目標額に設定した1千万円もそれで十分という額ではありませんでした。もちろん1千万円が集まるなんてまったく思っていませんでしたが、4日間くらいで目標額に達したのは本当に嬉しい驚きでした。みなさんメッセージを付けてご支援してくださるのですが、それを読むと私たちスタッフが思っている以上に、日本中にいらっしゃるみなさんがギンレイで映画をご覧になっていらして、辛かったときに助けられたとか、ずっと通っていてここがなくなると困るとか、そういった声をいっぱい届けてくださって、金額以上にそのことのほうに驚かされました。普段なかなかお客様の声を直接聞ける機会がないので、スタッフ一同感激でした。代々かなりの数のアルバイトの方々がいるのですが、昔学生時代にアルバイトしていましたという多くの方々も支援してくださいました。結果として7月31日に終了するまでに1924名の支援者の方々から、2188万6300円の支援金が集まりました。1974年に前任者から引き継ぎリニューアルして<ギンレイホール>として始めた前館主は、山手線一つずつの駅に映画館を作りたいという夢を持って、まずここでスタートしたんですが、志半ばで急逝されてしまわれました。でも、映画熱というものはすごくて、当時からお客様にも館主の映画、映画館に対する熱い思いは伝わっていたのだなと思いました。それを私の時に失くすことはできませんし、必ずや次へも繋いでいかなければいけないなと思っています。

2019年に撮影されたロビーの様子。「ミニシアター・エイド基金」の発起人の一人である『よこがお』『淵に立つ』などで知られる深田晃司監督が、「上映作品の独自のセレクション、チケット売り場・売店に並んだパンフレットやグッズに軽食、ロビーに貼られた上映中の映画の紹介記事。名作と呼ばれるような過去の上映作品のチラシやポスター、スタッフ手づくり館内ディスプレイ。ミニシアターを構成する要素のすべてに個性がある」と言うように、ギンレイホールのロビーもまた映画ファンにとって居心地のいい場所である。

ギンレイホールでは映画上映の他、様々な映画文化活動も行っており、創業以来、大切に保管してきたアーカイブや収集してきた映画資料なども披露している。2005年、創業30周年記念として<なかのZEROホール>で「映画ポスター・スチール写真展」を開催。

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