歴史上の名を馳せた著名人の邸宅は、それ自体が芸術品だ

旧岩崎邸庭園

明治29(1896)年に岩崎彌太郎の長男で三菱財閥第3代当主・久彌の本邸として造られた旧岩崎邸庭園。洋館・撞球室(どうきゅうしつ)(ビリヤード場)・和館の3棟が現存し重要文化財に指定されている。
洋館はジョサイア・コンドルの設計により明治29(1896)年に完成。久彌の留学先である米国ペンシルバニアのカントリーハウスのイメージも採り入れられた。洋館から地下通路で繋がっている撞球室はスイスの山小屋風の造りになっている。和館は、書院造りを基調にしており、現在は大広間のみが残っている。さだまさしの名曲で知られた「無縁坂」が煉瓦塀に沿ってあり、湯島天満宮も近く歴史散歩にもってこいの地である。
〔住〕台東区池之端1-3-45 〔問〕03-3823-8340(旧岩崎邸庭園サービスセンター)


小笠原伯爵邸

小笠原家は小倉藩を治める小笠原流礼法の宗家として知られるが、この小笠原伯爵邸は30 代当主長幹(ながよし)の本邸として昭和2年(1927)に建てられた。外観はシンプルであるが、小鳥をモチーフにした鉄製のファンライトや、葡萄畑をデザインした外ひさし、鬼門よけの猿の銘版や鳩が天空に舞い上がるステンドグラスなど細部の飾付けが凝っている。グランドサロン、ラウンジ、奥に進むとシガールームがある。ヨーロッパの煙草や葉巻が中近東から伝わったため喫煙室はイスラム風に造られる風習があった。水色の天井が鮮やかだ。スペイン建築の特徴の中庭(パティオ)から階段は屋上庭園とつながる。戦後40 年ちかく閉ざされたままになっていたのを、平成14 年(2002)、2 年間の修復期間を経てスペイン料理のレストランとしてよみがえった。スパニッシュ建築の最高峰の建物でおいしいお食事は、大切な記念日に訪れてみたいものだ。
〔住〕新宿区河田町10-10 〔問〕03-3359-5830

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