中川晃教

PHOTO MESSAGE 2007年4月1日号より


「物語の役としての
歌になり踊りになっているか、
そこを考え、演じるのが
ミュージカルでの俳優の
仕事だと思います」

中川晃教(俳優・シンガーソングライター)
2017年2月15日 東宝にて
撮影:言美歩

昨年公演の『ジャージー・ボーイズ』で、このたび読売演劇大賞の最優秀男優賞をいただきました。僕が初めてミュージカルの舞台に立ったのは2002年の『モーツァルト!』でした。その最初のミュージカルでいきなり読売演劇大賞の優秀男優賞と杉村春子賞をいただきましたが、そのときは、まだ、賞の重みというものを理解していませんでした。

その後は、作品といかに真剣に向き合うかということを考えさせられ、芸を極めるという努力を積み重ねる日々でした。それから15年、30代の代表作になる作品に出合えればと思っていたタイミングに、『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリの役を僕に、という熱烈なオファーをいただけたことは、僕に俳優としての自信みたいなものを感じさせてくれる出来事でした。

〝天使の歌声〟と称され るフランキーの、ファルセット(裏声)とも違う〝トワング〟と呼ばれる難易度の高い発声法を会得し、さらには、本国の音楽担当者に認めてもらえなければ出演することができないという、乗り越えなければ ならない試練の先に大きな賞が待っていたなんて、この作品を経験して、音楽を通じてお客様に感動を提供することができる、すばらしい仕事に従事できていることの幸せを強く感じました。

僕は常日頃から 〝誰も歩いていない道を歩く〟を心に抱いていて、自分がやってきたことを土台にしながらも、自分にないものを求められたら、それは自分に必要なことなのだ、大切なことなのだと思い続けて15年間歩んできました。だから、自分の知らない自分の声に出合ったときの感動は大きかったです。そして今また、新たな出合いがあります。ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』(4/9~4/25 シアターク)です。

連載開始から60年以上経った今でも世界中で読み継がれていチャールズ・M・シュルツ作『ピーナッツ』のキャラクターたちが歌って踊るミュージカルで、初演は1967年のオフ・ブロードウェイ。僕が演じるのは、スヌーピー。いよいよ人間以外の役を演じられるようになったのかと、役者冥利につきる思いで心が躍っています。

そして、『ピーナッツ』のキャラクターたちが、ミュージカルの世界に登場することに感動しています。まずはこの作品の世界観に入り込むところからアプローチを試み、そして実感したのは、作品世界がとても深く、決して子供ミュージカルではなく、大人が観て楽しむことができるウエル・メイドなミュージカルだということです。キャラクター全員が物語の主人公で、それぞれが抱えている夢や悩み、それが子どもたちのなにげない日常の小さな幸せとして描かれ、そんな日常の幸せがあることに大人たちにも気づいていただけるよう作品作りに向き合いたいと思っています。

そして最後の「ハピネス」というナンバーが聞こえてきて、それが観てくださるお客様の日常の〝ハピネス〟につながっていくという愛にあふれた作品。さまざまなタイプのミュージカルが年々増えてきて、その経験を積むなかで、そこからさらに新しいミュージカルの道が拓けていく。舞台に立ち続けてきていろんなミュージカルと出合い、得ることができた僕がステージに立つ意識というもの。そんな意識が今回のスヌーピー役につなげてくれているような気もしています。スヌーピーと出合ったことで、人から愛されるキャラクターというところまで今までの自分を生かし演じられたらいいなと思っています

 

 

2017年4月1日 Vol.31より
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