キムラ緑子

「寿命を縮めているな 思うこともありますが 身を削ってでも存在していたい時間と場所、それが舞台です」
2017年11月29日 松竹にて

撮影:言美 歩
 

私の2018年の舞台は新橋演舞場での『喜劇 有頂天一座』(2/1~2/12 〔問〕チケットホン松竹0570-000-489)からスタートします。

渡辺えりさん、段田安則さん、村田雄浩さんたちとご一緒した15年の『喜劇 有頂天旅館』に次ぐ〝有頂天シリーズ〟の第2弾です。昭和34年に劇作家の北條秀司さんがお書きになった台本で、新派の公演として上演されました。女剣劇の世界での座長の座をめぐる〝女いくさ〟がコメディタッチで描かれています。

北條秀司さんの作風なのでしょうか、 熾烈な女の闘いの物語ですが、日本人だからこそ心にしみ入る情緒というものが感じられる台本で、裏切りや、復讐劇の要素もあるんですが、そこには陰険なだけでなく愛のために、自分のためではなく誰かのためにというようなものが根底に流れているんです。登場人物たちの心がどのようにすれ違って闘いが起るのか、結末には心和らぐどんでん返しが用意されていて、絡んだすべての糸がほどかれ、お客様にもそのあたりの登場人物の心情みたいなものにも納得していただけ 絶対に後味の悪い芝居にはならない、という構造になっています。

人間の愚かさを人間らしさと許容する作家の温かい視点を感じる作品です。女剣劇ということで、劇中でも『国定忠治』の上演シーンがでてきます。今の時代、『国定忠治』なんて、芝居好きな方でもあまり観る機会はないんじゃないでしょうか。あの〝赤城の山も今宵を限り……〟 という名台詞を忠治が大見得をきりながら言うあの瞬間を日本人なら 一度は観ていただきたいと思うんです、富士山を見るように。

大衆演劇というすごい世界があって、昔から日本人の心をとらえてきた日本人が大好きな名場面がありますが、その世界を観て、感じていただきたいんです。

‥‥‥続きはVol.34をご覧ください。


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