段田安則


PHOTO MESSAGE 2018年7月1日号 より


1年間で5本の舞台に
出演という俳優人生
初めての経験を楽しんでいます。

段田安則(俳優)
2018年6月12日 松濤スタジオにて
撮影:言美歩

2月の『喜劇 有頂天一座』に始まり、4月に『ヘッダ・ガブラー』、現在は井上ひさしさん作の『夢の裂け目』に出演中です。

この後も『出口なし』(8/25~9/24新国立劇場 小劇場、9/27~9/30大阪サンケイ ホールブリーゼ)『民衆の敵』 (11/29~12/23Bunkamuraシアターコクーン)と続きます。1年間で5本の舞台に出演するのは、俳優になって初めての体験です。

5本もやらせていただけるのは俳優としてとても幸せなことですが、5作品それぞれに心惹かれてお受けしたものの、やってみると結構大変です。でも、一つの色をやると、別の色彩を帯びた芝居をやってみたくなる飽きっぽい性分の僕にとっては、それぞれに異なった色合いがある今回の体験は、嬉しいことですね。体力的にはしんどくて休みたいと思う日もありますが、劇場に行くと大袈裟に言えば生きている充実感といいますか、心がニタッと微笑むことがあります。

もともと舞台が好きでこの世界に入りましたからね。それでも最近、「台詞が出てこなかったらどうしよう」という不安感を初めて覚えました。この年齢になっても、自分ならできるという自信と不安を行き来しながら舞台に立っています。

次回作の『出口なし』はジャン=ポール・サルト ル原作の不条理タイプの密室の会話劇です。出演を決めた最大の理由は、大竹しのぶさん、多部未華子さんとの共演です。大竹さんとは何度も舞台をご一緒していますが、僕が台詞を投げかければ大竹さんが 何とかしてくれるという安心感があって、単純に台詞のやりとりをするだけで楽しいんです。お互いの〝息〟もわかりますし、変化球のやりとりが成立する貴重な相手です。きっと僕のセンス、芝居をわかってくださっているのだと勝手に思っています。

多部さんとはテレビドラマでの共演はありますが舞台をご一緒するのは初めてです。 20代の女優さんの中でも大好きな女優さんの一人で、舞台も拝見しています。魅力的だと思うのは、芝居が濁っていないところです。 正直な芝居という印象があって、ぜひ一度舞台を一緒にやってみたいと思っていました。

映像と舞台はまた違いますので、舞台ではどんな感じで向き合えるのかがとても楽しみです。演出は、9月に新国立劇場演劇部門の芸術監督への就任が決まっている小川絵梨子さんで、以前『OPUS/作品』と『コペンハーゲン』でご一緒しました。翻訳劇にありがちな日本語のわかりにくさや意味合いの混乱を取り除いて、俳優がやりやすい、観客にもわかりやすい演出をする方です。何よりも芝居が好きなんだなということを小川さんからは 強く感じます。それは一緒に仕事をする大きな要素になります。

今回は上演台本も手がけられますが、俳優のそれぞれの個性を活かす台本にしてくださるのではないかと期待しています。この一種難解とも言われる作品の核、芯をどこに据えて演出なさるのか大変だと思いますが、楽しみです。心にひっかかるところとか、面白いなとか、ここは謎だなとか、俳優が作品の中に見つけたものを膨らませて演出なさるのではないかと想像しています。英国の俳優が〝シアター・ドクター〟、つまり俳優にとって〝劇場は医者〟なんだよ、とうまいこと言うんですよ。

熱があっても、痛いところがあっても、 好きな仕事に向き合えば気合いが入る。俳優の僕にとってはまさに舞台がその場所なんだと思います。


2018年7月1日 Vol.36より
こちらの記事もどうぞ
サントリー美術館様

特集 special feature 

91歳の相撲記者・杉山邦博の秘蔵アルバム(最終章)

91歳の相撲記者・杉山邦博の秘蔵アルバム(最終章)

名場面、名勝負の土俵に人生あり

挑戦し続ける劇団四季

挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン

「芸術座」という血統

「芸術座」という血統

名作『放浪記』の舞台から「シアタークリエ」へ

秋山庄太郎ポートレートの美学

秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

Present

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives

私にとっての箱根 archives

私にとっての箱根 archives

information

小田急沿線さんぽ 

読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!