黒木 華

「作品それぞれの役で見ていただける女優になりたい、役を生きられる女優になりたいと思っています。」
撮影:2018年8月8日 東京テアトルにて

出演作『散り椿』に続き、10月13日(土)から映画『日日是好日(にちにちこれこうじつ 』が公 開されます(監督・脚本:大森立嗣)。エッセイストの森下典子さんが茶道教室に通う日々を綴ったエッセイ『日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』の映画化で、主人公の典子を演じさせていただきました。

映画では、20歳からお茶を習い続ける24年間の典子の心の成長が、毎年繰り返し訪れる二十四節気(一年間の季節を24に等分したもの)の時間の流れと交錯しながら描かれます。この作品に出演したいと心が動いたのは、まず樹木希林さんとご一緒させていただけるということ(編集部註:樹木希林は典子役が黒木華ということで出演を承諾したという)、そして大森監督の映画に出られるということでした。

実際に樹木さんと共演させていただいたことはとても大きな経験になりました。とにかくカッコいい女性で、樹木さんの佇まいからはすべてが自然体で心のままに、ということを感じさせられました。セリフの最後にポッと出る台本にない一言などは、まさに典子のお茶の先生が呟くような言葉のように思われ、台本を読み込まれてい て、役の人物に成りきっていらっしゃるのだと感じました。とても知的な方ですが、それでいて周りの人々を緊張させない柔らかな雰囲気をまとった方で、こんな女性になりたいと憧れます。

大森監督は、言葉で動きを説明するのではなく、典子と同じ気持になりまるでご自身が演じていらっしゃるように指導してくださって、俳優の立場になって演出をなさる監督だと感じました。これほどまでに茶道の稽古シーンが登場する作品は、いままでになかったと思いますが、私は茶道はまったくの未経験者で、一ヶ月ほど指導していただきました。映画でも描かれていますが、頭で考えて動くのではなく、自然とからだが覚 えて動くというのが一番難しかったですね。

ある程度まではできるようになるのですが、つい作法を追いかけてしまう。そうすると、音や空気というものを感じることができないんです。それでも続けていると、典子と同じように「あっ」という瞬間があって、季節による雨音の違いが感じられたり、掛け軸を絵のように眺める面白さなど、五感で、全身で味わうという感覚が少しは体験できたような気がします。

茶道は、堅苦しいものだとばかり思っていましたが、四百年以上も変わらず続く茶道という宇宙の向こう側に、心の自由を感じるという境地があるのだという世界に触れられたような気がしています。すぐにわからないものは、時間をかけて気づいていくのであり、お茶と親しみながら五感で感じることで、典子の人生も変化し成長していく物語です。高校時代の演劇部のろから変わっていないのは、黒木華ではなく、作品それぞれの役で見ていただける女優になりたいということです。

役を生きられる女優になりたいとずっと思っていますし、演じることを楽しむということを常に心がけています。いただいた役や撮影現場を楽しめるには、フラットな状態でいることが肝心だと考えます。

監督の指示や、共演者の方々から投げかけられるものを、いつでも受け止めて返せる状態でいたいんです。この先も『億男』『ビブリア古書堂の事件手帖』『来る』などの映画が公開されますが、それぞれに色合いの異なる役柄です。今後も同じ役どころというより、演じたことがないような役を経験して、いろんなひきだしを増やしていきたいと思います。まずは『日日是好日』で観客のみなさんと一期一会の感動を共有できれば幸せです。

※樹木希林さんは 9月15日に逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。


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