山口祐一郎

「音楽、詞、脚本…… すべてが一体となった ミュージカル『レベッカ』に 俳優心がくすぐられています 」
撮影:2018年9月28日 都内ホテルにて/言美 歩

2019年の仕事始めは、ミュージカル『レベッカ』です(2019年1/5~ 2/5日比谷シアタークリエ〔問〕東宝テレザーブ03-3201-7777)

この作品は、08年にシアタークリエ・オープニングシリーズを飾ったミュージカル公演第一弾で、10年には大劇場バージョンとして帝国劇場でも上演され、このたび、シアタークリエ開場10周年記念ラインナップの掉尾を飾る作品として3度目の上演となります。ダフネ・デュ・モーリアの同名の長編小説を原作とし、アルフレッド・ヒッチ コックにより映画化もされた作品なので、ご存じの方も多いと思います。

同作をミュージカル・サスペンスとして再構築したのが、ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)と、シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のヒットメーカー・コンビです。ミュージカル・ファンの方々にとっては『エリザベート』『マリー・アントワネット』『モーツァル ト!』など、いわゆるウィーン・ミュージカルを手がけた2人としてお なじみですね。僕もいずれの作品にも出演させていただいています。

『レベッカ』が僕のなかの俳優心をくすぐるのは、音楽、セリフ、脚本など、すべてが一体となった作品だということでしょうか。リーヴァイさんは、日本人なのじゃないかと思えるくらい、日本語に乗るメロディを書いてくださっています。上演される国によって、それぞれの 言語で表現されるときに、いろんな問題が起きうることを事前に理解していらして、つまり、日本語という言語の特性とメロディとの間で苦しんでいる演者の気持がわかっているんです。

多くの場合は、言葉の手直しで音楽に寄せるのですが、リーヴァイさんは「こうすればどうかな?」と秒数にしたらゼロに近いような微妙なスコアの手直しを
即座にやってしまう。日本語で歌うのに手直しがベターであれば、いいじゃないかという感覚の持ち主なんです。だから、俳優も気持をのせて歌うことができ、お客様の耳にも心地良く響くんです。

クンツェ &リーヴァイコンビのミュージカルは、その時代の2人の生き様そのものが反映されているすばらしい作品ばかりです。2人が心の底から 大切にしている人類の多様性、寛容さというものを、音楽、詞、脚本に表現しているということを深く感じさせてくれます。

今回は「わたし」の役がトリプルキャスト(大塚千弘、平野綾、桜井玲香)、ダンヴァース夫人がWキャスト(涼風真世、保坂知寿)ということで、向き合う 相手によって、マキシム役の僕の演技も大きく変わります。俳優の組み合わせによって、6種類のマキシムをご覧いただけると言えるかもしれません。それは演者にとってのおもしろみであり、俳優の仕事を 続けていける楽しさかもしれません。

この仕事もけっこう長いことやっていて、さまざまな作品に出演させていただいています。長年舞台を見続けていただいているお客様から手紙をいただくことも多いのですが、僕が想像もしない視点で、作品の魅力を発見なさっていらして、そんなところも舞台ならではのおもしろさですね。幕が開くまでは、あらゆるパターンを想定しながらも、ポイント、ポイントで効果的に演じるには、なんて考えながら芝居を構築したりしますが、幕が上がると、『レベッカ』では、マキシムはこういう人物なんだという ことを一旦忘れて芝居をするようになりました。俳優と同じ空間を 共有するという楽しみを知ったお客様と、〝劇場空間〟を共に過ごすことができているのだと、俳優としての幸せを感じています。


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