岡田将生

「見られているということを 意識させられる舞台には、 一度立つと逃げられなくなる 魔力があります 」
撮影:2019年2月14日 スタジオアートプラザにて
 Photo:言美歩

2014年に『皆既食-Total Eclipse-』で初舞台を踏んで以来、5作目の舞台となるシェイクスピアの『ハムレット』で、タイトルロールを演じることになりました(5/9~6/2 Bunkamuraシアターコクー ン〔問〕Bunkamura03-3477-3244)。

シェイクスピアって、どこか手の届かないところにある作品だという気持があって、僕がハムレットをやるのか、と心の中で反芻しているような状況ですが、舞台でその 面白さも恐さも体験していくなかで、どこかで、やってみたいという 気持がありながら、生半可に手を出してはいけない、中途半端に手を出すと痛い目に合う作品だとも思っているので、今回ハムレットをやれるのは、泣きそうになるくらい嬉しいです。

初舞台の演出をしてくださった蜷川幸雄さんが「いつか君とシェイクスピアをやりたい」と言ってくださったことを思い出します。僕は舞台というものに対してすごく敬意を払っていて、まだ本数は少ないながらも、舞台に立つ 人にしかわからない喜びや悔しさといったものも感じているので、悔 いが残らないようにハムレットを演じきりたい、と身が引き締まる思 いです。

脚本を読むと、シェイクスピアって、言葉の連なる部分がすごく面白くて、その特有のリズムに乗って感情がおもむくままに演じるのは役者として気持のいいものだと思いますが、観客の目にはどう映っているのかというような客観性も、どこかで持っていなければとも感じています。すごく酔える役ですが、自分に酔った芝居をしてはいけない、でも、酔えないとできない役で、と心が模索している状況なんです。演出家のサイモン・ゴドウィンさんは、今回が日本での初演出。サイモンさんのワークショップでは、芝居はすごく自由で、演じることも自由、身体の動かし方で表現は大きく変わるということを 教えてもらいました。そこから、発想力とか想像力といった力が必要なんだと実感しました。

シェイクスピアの言葉の魔力を面白さとして感じるには、圧倒的に自由でなければならないのだと感じさせられました。自分が感じたそういう部分を、これからどんどん稽古場で見つけていけたらいいなと思っています。探し続けるなかで、日に日に変わっていくその変化を楽しめる役なのかなと勝手に想像しています。

僕自身が探すという行為を求められている役なんだろうなと。それは演じてみないとわからない。だから稽古でも本番でも、実際に演じながら生まれるその日の感情のおもむくままに、でも芝居に酔うことなく演じたほうがいいのかと今は感じています。

稽古がすごく好きなんです。同じ役を演じていても、毎日どんどん変わっていくし、同じことをやっているのに全然違うものが生まれてくる。

「あっ、これか」とそこにしか生まれないものを見つけられる、そんな発見があるのが稽古場です。そういう発見が僕は好きなんです。そして、本番でのヒリ ヒリするような緊張感が好きなんだと思います。失敗することに意味があるという考えで、そこから挑戦ということにつながる。

20代こそまさに失敗であれとも思っていて、20代までにシェイクスピアをやりたいというのもそこにありました。20代の締めくくりの年に、恥をかいても、笑われてもいいからやり遂げたいという思いがあります。でも、期待感はすごくあって、やり終えたときには、役者として何か得るものがあることは確信しています。経験したことのない新たな仕事に挑戦してみたくなるんだろうなと。


good fellows

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