日本人にラグビーの面白さを気づかせてくれた五郎丸 歩さん

PHOTO MESSAGE 2013年10月1日号より


2013年 ヤマハ大久保グランドにて 撮影:平岩享

「3歳から始めて24年、ラグビーは私の人生のすべてです。だから、ラグビーで言い訳や後悔は絶対したくないです」

 ラグビーチーム、ヤマハ発動機ジュビロでFB(フルバック)をやっています。FBというのは、自陣のゴールラインを守る最後の砦ともいうべき最後尾のポジションで、ディフェンスラインを突破してくる相手をタックルで確実に食い止めトライを防ぐという使命があります。

 最後尾なのでミスは許されない、強い責任感を感じさせられるポジションです(編集部註:タックル技術のほか、相手のキックしたボールを確実にキャッチし、逆に相手陣深く蹴り込むキック力、突破力のある脚力など高い身体能力が求められるだけでなく、最後尾からゲーム全体を読み、瞬時の的確な判断力も必要とされる、と役割は多岐にわたる)。高校に入ったとき、監督にどこをやりたいかと訊かれFBだと答えました。自分の長所を一番活かせるポジションだと思います。私がいう長所とはキック力です。

 もちろんFBに要求されるのはキック力だけではありませんが、判断力などは経験を積んでいけば身につくと思っています。FB にとって一番必要なのは冷静さだと思っていますが、ラグビーは一種格闘技ですから、闘志をかきたてながらも冷静さをもつということですね。

 歴史的1勝をあげた今年のウェールズ戦に日本代表のひとりとして参加できたことは誇りでした。日本はどの国の代表より一番きつい練習をしていると思います。着実に強くなっていると実感しています。2015 年にはイングランドでワールドカップが開催されます。

 ワールドカップは経験していないのですが、ひとつ言えるのはラグビーの人気を上げるためには勝たなければならないということです。野球やサッカーでは日本の選手が海外でどんな活躍をしてるかというレベルにきています。残念ながらラグビーはまだその域に到達していません。

  世界の舞台でどの位置にいるかということがラグビー人気に直結していくと感じています。イングランドの次、2019 年は日本が主催国ですから、日本ラグビー界の歴史を変えていくためには、まず勝たなければいけないという責任を感じます。現在、今季トップリーグ1stステージの真最中です(1stステージは10/27まで、2ndステージは11/30 ~来年1/19)。ヤマハのスクラム技術のレベルは昨シーズンよりさらに高くなっていますし、私の身体も一回り大きくなりました。勝ち負けに貪欲なラグビーをしたいと思っています(編集部註:五郎丸さんは2011、12 年と2季連続で得点王・ベストキッカー賞・ベストフィフティーンの3冠王に輝いた)。

 スタジアムで観るラグビーの醍醐味はなんといっても「音」です。人と人とが真剣にぶつかる音というのは、ラグビーにしか聞こえません。バーンとぶつかったときの音は、私自身も胸が騒ぐし盛り上がりますね。まずはスタジアムに足を運んで、この「音」を感じてほしいです。

 小学生低学年のころ兄(コカ・コーラウエストレッドスパークス五郎丸亮選手)がいる一つ上の学年のチームと対戦して、兄と1対1でぶつかったとき、兄はすぐ立ち上がったのに、私は立てず悔しくてずっと泣いていました。その悔しさをルールがあるゲームの中でやり返せるのがラグビーだと思いました。それが今もラグビーの一番好きなところです。


ラグビーワールドカップ2015では、日本代表としてメンバー入りし大活躍。独特の「五郎丸ポーズ」を子どもたちも真似をするようになるなど、一躍〝時の人〟となった。2021年トップリーグ終了をもって、現役引退。フィールドを離れてからの五郎丸歩さんに注目したい。

2013年10月1日 Vol.17より
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