石丸幹二

PHOTO MESSAGE 2012年1月1日号より

ミュージカル『ジキル&ハイド』 出演を語る

撮影:2011年11月15日 東京會舘にて/徳増純一郎

「舞台は真剣勝負の空間です。だから僕は、一流の栄養をたっぷりと吸収し、そして常に新鮮な素材として舞台に臨みたいと思っています」

 

2011 年はシェイクスピアの『十二夜』で幕を開け、井上ひさしさんの戯曲『日本人のへそ』、坂東三津五郎さんと共演した『グレンギャリー・グレン・ロス』、サイトウ・キネン・フェスティバル『兵士の物語』、そしてミュージカル『GOLD』では彫刻家ロダンを演じ、その間には映画、テレビドラマ、春と秋のソロコンサート、ラジオ「石丸幹二のシアターへようこそ」のナビゲーターといろんなフィールドで仕事ができました。串田和美さん、栗山民也さん、青山真治さん、白井晃さんといった演出家の方々からは要求されることもそれぞれで、いい緊張感を持続させながら新しい僕をお見せできた1年だったように思います。

そして、2012 年3月にはミュージカル『ジキル&ハイド』に出演します。『ジキル&ハイド』のブロードウェイ初演を見た97 年頃は、いわゆるグランドミュージカルの時代から次世代のミュージカルへと移行しつつある時期でしたが、この作品はグランドミュージカルの要素をしっかり受け継いだものとの印象を持ちました。観客の心をわしづかみにするビッグ・ナンバーの連続に、とても感動したことを覚えています。イメージが豊かで誘惑的な音楽の力、ロマンスとサスペンスが織り成すドラマティックなストーリー展開、そして歌唱力と演技力がともなった俳優たちによる芝居……、一瞬にして虜になりました。俳優として、いつの日か演じてみたいと思ったのも至極当然のことでした。その願いがかなったわけです。人生最大の決断の時にジキルがその感情の高まりを力強く歌う「時が来た」という楽曲がありますが、今、僕自身、多彩な作品と出会うことで、さらに可能性を探っているこの時に『ジキル&ハイド』に挑めることは、幸福なめぐり合わせだと強く感じています。まさに時が満ちた、時が来たという感じです。大学で声楽を専攻していた頃、日本語で歌の心を伝えたい、言葉を介して歌い手の思いを強く打ち出したいという一心で、ミュージカルの世界に飛び込みました。

ミュージカルのソロナンバーはセリフ劇でいえば独白、まさしく心を伝えることです。重大な物事に直面したとき、人は選択をしなければならない。人生におけるその瞬間の心の内をしっかり描ければと思っています。演じていくなかで僕の中でもジキルとハイドが交差していくと思います。それがいい形で芝居の深みにつながってゆければと願っています。その意味では初日、中日、楽日と、最低でも3回通える面白さがあるミュージカルですよ。

サントリー美術館様
森美術館

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