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国宝、運慶の晩年の最高傑作<弥勒如来坐像>が、東京国立博物館へ。特別展「運慶 祈りの空間─興福寺北円堂」

 国宝・興福寺北円堂は平城遷都の立役者・藤原不比等の功績を称え、元明・元正天皇の発願により、養老5(721)年に建立された。しかし度重なる災禍に遭い、1180年の平重衡による南都焼き討ち後、奈良仏師運慶は一門を率い、北円堂諸像の造立を始め、北円堂の本尊像の<弥勒如来坐像>も復興された。本作は、古典彫刻に学んだ成果をいかんなく発揮した運慶一門による、運慶晩年の最高傑作と言われている。
 運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える貴重な例である北円堂は通常非公開であるが、修理完成を記念して弥勒如来坐像が約 60 年ぶりの寺外公開となる。本展は、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像に加えて、かつて北円堂に安置されていた可能性の高い四天王立像を合わせた7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる貴重な展覧会である。国宝7軀のみで構成された至高の空間を堪能したい。

(左)国宝   弥勒如来坐像(部分)   運慶作   鎌倉時代・建暦2年(1212)頃  奈良・興福寺蔵 北円堂安置 (右)国宝   無著菩薩立像(部分)   運慶作   鎌倉時代・建暦2年(1212)頃  奈良・興福寺蔵 北円堂安置 撮影:佐々木香輔


特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」

会期:2025年9月9日(火)~11 月30日(日)
休館日:9月29日(月)、10月6日(月)、14日(火)、20日(月)、27日(月)、11月4日(火)、10日(月)、17日(月)、25日(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時 *入館は閉館の30分前まで
会場:東京国立博物館 本館特別5室
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/unkei2025/


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