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世界の片隅に生きる一人の少女に訪れた、魔法のような4日間『バード ここから羽ばたく』

 郊外の下町に暮らす12歳の少女が〝バード〟と名乗る摩訶不思議な男と出会い、ささやかに、しかし確実に世界がひらかれていく姿を描いた珠玉のヒューマンドラマだ。

 監督と脚本は、社会の片隅に生きる人びとの姿を映し続け、熱い称賛を集めてきた『フィッシュ・タンク』 (09) 『アメリカン・ハニー』(16)の名匠アンドレア・アーノルド。国際的な評価や輝かしい受賞歴とは裏腹に、日本では映画祭や限定公開などでしか上映の機会がなかったが、リアリズムと神話的ファンタジーの融合という新境地を拓いた本作が、9月5日(金)から、新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国公開となる。


 <ストーリー>
シングルファーザーの父バグ(バリー・コーガン)と暮らし、やり場のない孤独をつのらせていた少女ベイリー(ニキヤ・アダムズ)は、ある日、草原で服装も振る舞いも奇妙な謎の男“バード”(フランツ・ロゴフスキ)と知り合う。彼のぎこちない振る舞いの中にピュアななにかを感じたベイリーは、「両親を探している」というバードの手伝いをはじめるが……。


 自己中心的な厄介者だが家族への愛情は深い父親バグに扮したのは、クリストファー・ノーランやヨルゴス・ランティモスら錚々たる大物監督に愛される若手個性派の筆頭バリー・コーガン。本作にはリドリー・スコットの『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』を蹴って参加し、若く未熟でありながらもカリスマ性を放つ複雑なキャラクターを妙演している。タイトルロールである正体不明の男“バード”を演じたのは、ドイツの名優フランツ・ロゴフスキ。ミヒャエル・ハネケやテレンス・マリックら巨匠監督にも起用される国際派が、現実から遊離した、不穏な空気と安心感を同時に与える難役に説得力をもたらしてみせた。撮影監督はケン・ローチ作品や『哀れなる者たち』などで知られ、アーノルド監督とは短編時代からタッグを組んでいる名手ロビー・ライアン。本作では16mmフィルムのざらついた画質とスマホのデジタル映像を組み合わせ、リアルでありながら夢の中にいるようなカラフルで詩的な映像美を作り出した。
 さらに、大人気のロックバンド、フォンテインズD.C.が楽曲提供しただけでなく、劇中の父親の名前にちなんだ曲「バグ」を発表(MVの監督はアンドレア・アーノルド)。さらにコールドプレイの「Yellow」やブラーの「The Universal」など英国のアンセム的なヒット曲が効果的に使われており、エレクトロ・ミュージックの第一人者ブリアルが初めて映画音楽を担当したことも話題を呼んでいる。

 自分の居場所を探し求める少女の普遍的な青春物語と、現代のおとぎ話のようなマジックリアリズム、そして下町ならではのビビットでエネルギッシュな群像ドラマがひとつになった『バード ここから羽ばたく』は、アンドレア・アーノルド監督の過去作同様、タイムレスな名作となって語り継がれるに違いない。


バード ここから羽ばたく』 
9月5日(金) 新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国公開!
配給:アルバトロス・フィルム
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