pickup

千年の時を超え、現存する国宝「源氏物語絵巻」全点が10年ぶりに一挙公開!(名古屋/徳川美術館)

 昨年はNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送もあり、紫式部の「源氏物語」が一躍脚光を浴びた。「源氏物語」を文章(詞書)と絵で表した巻物を「源氏物語絵巻」というが、現存する最古にして最高傑作と言われるのが、名古屋市にある徳川美術館と五島美術館(東京)が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」である。現存する国宝「源氏物語絵巻」は、江戸時代になって、尾張徳川家と阿波蜂須賀家を経て、昭和に入り尾張徳川家の伝来品は徳川美術館へ、蜂須賀家の伝来品は五島美術館で所蔵されるようになった。その他、断簡として現存しているものは9点、そのうち2点は所在不明で、国宝に指定されていない。

 
 本展では、10年ぶりに国宝「源氏物語絵巻」とその断簡の全てが徳川美術館で一堂に会し、公開される。
 

▲詞書の後ろに、その内容に呼応する絵をつないだ絵巻。右から左へ見る。 国宝「源氏物語絵巻」竹河(二)徳川美術館蔵

 国宝「源氏物語絵巻」は、経年による変色や褪色、絵の具の剥落が見られ、平安時代の本来の姿に蘇らせるために計画されたのが「平成復元模写事業」である。平成11年から17年にかけて実施されたこの大プロジェクトにより、鮮やかに再現された色彩と、みる角度によって変わる銀の煌めきが素晴らしく、平安の王朝人が目にしたであろう「源氏物語絵巻」の世界を目にすることができることになった。

▲源氏物語絵巻 関屋 絵(復元模写) 加藤純子筆 平成17年(2005) 徳川美術館蔵

 
 さらに、徳川本が額装から巻子装へと戻されたことで、平安の人々が親しんだ絵巻本来の楽しみ方を体感できるようになった。絵巻は右から左へと流れる構成で、最初に「見返し」、続いて物語部分の「詞書(ことばがき)」、そして「絵」へと展開する。詞書には金銀の輝きを散らした美しい料紙(りょうし)が用いられ、詞書と絵が一体化することで、ひとつの世界観が完成する。改装に伴い新調された見返しと、人間国宝の手による螺鈿の軸首も見逃せない。

▲国宝 源氏物語絵巻 横笛 徳川美術館蔵 右が詞書、左が絵。詞書の黒い部分は経年劣化で黒変した銀の装飾。


徳川美術館開館90周年記念特別展 国宝 源氏物語絵巻
会期:2025年11月15日(土)~12月7日(日)
開館時間:10時~17時(最終入館は15時30分)
休館日:月曜日(ただし、11月24日(月祝)は開館)、11月25日(火)
会場:徳川美術館 本館展示室 (名古屋市東区徳川町1017)
日時指定オンラインチケット発売中
■公式ホームページ
https://www.tokugawa-art-museum.jp/



comoleva