猫を描く画家・川井徳寛の個展が、 青山の骨董通り沿いの現代アートを扱うギャラリー「GYOKUEI」にて開催中である。会期は、11月29日(土)まで。
川井徳寛は、幼少期から猫と深い関係を築いてきた。実家では彼の誕生前から猫が飼われており、物心つく前から猫は家族であり友人のような存在だった。中学時代に初めての別れを経験し、心に深い喪失感を刻む。その後、保護猫との再会を経て、18年間にわたり寝食を共にし、猫は彼の人生の安定と癒しの象徴となった。こうした体験は、代表作「飼い猫の幻視」などに結実している。
川井は、〝猫〟という存在を可愛らしい動物だけではなく、「神聖なる奇跡」として描く。初期ルネサンス絵画のモチーフに重ね合わせることで、「守護神」「媒介者」「人間社会の鏡」へと昇華させ、さらに、人間の内面や平和のあり方を問いかける。
作品には、猫や馬、さまざまな動植物が登場する。それらは、川井が幼少期に培った科学的好奇心と神話への憧憬を起点にし、20年以上にわたり多様なテーマと表現技法を探求して来た。近年は、独自開発したテンペラ技法を用いて、油彩・水性素材を組みあわせることで、緻密な線描と深い質感を両立させた作品を制作している。
川井徳寛(かわい とくひろ)
1971東京生まれ
1995東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1997東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了
2008アートフェア東京2008(~2023年)
NETWORK PROJECT JAPAN / INTERALIA Gallery(ソウル、韓国)
2009 「異体共生~Parabiosis~」/ SOKA ART CENTER(台湾)
2012個展「川井徳寛的ヒーロー」/ GYOKUEI
2014Affordable Art Fair Hong Kong 2014 / a gallery(香港)
2015「ペコちゃん展」/ 平塚市美術館
Art Central Hong Kong (香港、~2019年)
2020THE HOUSE OF THE RISING LIGHT / Dorothy Circus Gallery(ローマ)
2021「美男におわす」/ 埼玉県立美術館、島根県立石見美術館
2023個展「−形而上表現としての天使−」/ GYOKUEI
2025「Rose イメージの系譜」/ ふくやま美術館
川井徳寛―猫礼賛祭壇画―
Tokuhiro Kawai “Altarpiece of Cat Adoration”
11月5日(水)~11月29日(土)展示(10時30分−18時30分)
GYOKUEI(東京都港区南青山6-8-2 1階)*日祝休廊