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世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルのメンバーが今年もまたやって来た!東日本大震災被災地、陸前高田市との〝音楽の交流〟

 クラシックファンにとって、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の11月の来日公演は、垂涎の的だ。「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2025」が11月11日(火)~16日(日)サントリーホールで開催されている。

 言わずもがな、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、超一流の演奏家が集まり、伝統的なウィーンの音色と優れた各国の演奏家の多様な音楽性が融合した世界最高峰の楽団である。
 しかしそれだけではない。積極的に文化交流を行っていることでも知られている。

 その一つが、被災地のこどもたちとの交流だ。東日本大震災の翌年の2012年に「ウィーン・フィル&サントリー音楽振興基金」を設立し、宮城県で「こどもたちのためのコンサート」を開催した。爾来その活動が現在も継続して開催されているのだ。
 今回は、本公演のために来日したメンバーから9名(ダニエル・フロシャウアー楽団長も同行)が11月9日(日)に岩手県陸前高田市を訪問し「こどもたちのためのコンサート2025」を開催したほか、東日本大震災津波伝承館の見学、高田松原津波復興祈念公園での献花、陸前高田市 東日本大震災追悼施設・刻銘碑での献花・献奏、市内の中高生との交流を果たした。ウィーン・フィルが岩手県を訪問しコンサートを開催するのは、10年ぶり3度目だという。(2013年に宮古市、山田町、2015年に宮古市を訪問)

 「こどもたちのためのコンサート2025」は、陸前高田市民文化会館(奇跡の一本松ホール)に市内の小中高生を招待し、一般の応募も受付、約300名が来場した。コンサート開演前には地震による津波注意報が発令されたが、現地のガイドラインに基づき、安全に十分配慮して無事開催することができた。

 コンサートの前には、近隣から集まった岩手県立高田高校吹奏楽部5名を含むこどもたちのためのプレイベントが開かれ、ウィーン・フィルの団員と交流した。演奏の指導や質疑応答を行い、こどもたちは世界的なオーケストラの奏者からの直接指導に目を輝かせた。

 ダニエル・フロシャウアー楽団長は、「地震と津波の大きな被害を目の当たりにし、言葉が出なかった。E.T.A.ホフマンの言葉に『言葉が途切れる時、音楽が語り始める』というものがあるが、この取り組みを通して改めてその言葉の深みや、音楽の力について考えることができた」とコメントした。

 楽団の参加者の中には、今回が3回目、2回目と複数回参加しているメンバーもいる。忙しい来日スケジュールの中で、未来の聴衆である日本のこどもたちと交流を続けるウィーン・フィルハーモニー楽団員の活動に賛美の気持ちを伝えたい。

ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金 
ホームページhttps://www.suntory.co.jp/sfa/fund



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