過去2回にわたる、Bunkamura ザ・ミュージアムでのソール・ライターの展覧会は、それまでほぼ無名だった写真家の名前を一気に知らしめ、大きな反響を呼び起こした。
本年はソール・ライター生誕100年にあたる。本展は、新たに発見された作品や未公開のモノクロ写真、絵画など最新作品群を含む400点以上の作品を通して、知られざるソール・ライターの素顔に迫るものである。
アンディ・ウォーホルや、ロバート・ラウシェンバーグ、マース・カニングハム(振付家)、ジョン・ケージ(作曲家)、ユージン・スミス(写真家)、セロニアス・モンク(ジャズ・ピアニスト)などは、後に巨匠と称されれるようになったアーティストや写真家たちであるが、50~60年代のソール・ライターが撮影した彼らのポートレートも紹介される。それらはソール・ライターが野心あふれる若き日の芸術家たちの輪の中にいたことを物語る貴重な資料でもある。
また、50~60年代の『ハーパーズ・バザー』でのファッション写真も一挙公開される。当時、カラー写真は商業的な用途で使われることが多く、入稿された原版(ポジ)は写真家のもとに返却されることはほとんどなかったため、ソール・ライターの多くのカラー写真も残されているポジは一部しかなく、掲載誌のみがその仕事を物語っている。『ハーパーズ・バザー』のファッション写真からは、当時のアメリカ文化の芳香が伝わってくることだろう。
さらに本展ではカラー写真約250点が、10面の大スクリーンで投影される。ソール・ライターの創り出した色彩豊かな世界をご覧いただけることだろう。
Saul Leiter ソール・ライター
1923 年12 月3 日、ペンシルバニア州ピッツバーグに生まれる。父親はユダヤ教の聖職者。1946年、画家を志し神学校を中退してニューヨークへ移住。1958年、ヘンリー・ウルフがアートディレクターに就任した『ハーパーズ・バザー』誌でカメラマンとして仕事をはじめる。その後、80 年代にかけて『ハーパーズ・バザー』をはじめ多くの雑誌でファッション写真を撮影。1981年、ニューヨーク5 番街にあった商業写真用の自分のスタジオを閉鎖。1993 年、カラー写真制作のためイルフォードから資金提供を受ける。2006 年、ドイツの出版社シュタイデルが初の写真集『Early Color』出版。2008 年、パリのアンリ・カルティエ =ブレッソン財団でヨーロッパ初の大規模回顧展開催。2012 年、トーマス・リーチ監督によるドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた 13 のこと」製作。2013年11月26日、ニューヨークにて死去。享年89。2014年、ソール・ライターの作品を管理する目的でソール・ライター財団創設。2017 年「ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター」展、2020年「永遠のソール・ライター」展をBunkamura ザ・ミュージアムにて開催。
「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」
会期:2023年7月8日(土)~8月23日(水)
会場:ヒカリエホール ホールA(渋谷ヒカリエ9F)
時間:11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
休館:なし
観覧料:一般1,800円、大学・高校生1.000円、中学・小学生700円
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_saulleiter/