〈雨降山 あふりさん 大山寺〉は奈良東大寺を開いた良弁が開山した。良弁を継いで行基の高弟である光増和尚が二世となり、その後第三世として弘法大師が大山に入った。現在の住職は篠宮聖尚さんが勤める。ご本尊は不動明王で、心をこめて参拝する者に分け隔てなく現世の悩みや苦難を助けてくださるということで、春日局も山にこもり家光が世継になるよう不動明王に祈願したという。
紅葉の季節は山が真っ赤に染まり大勢の遊山客で一番のにぎわいを見せるというが、若葉の季節の大山寺は緑が目にも清清しく心が洗われる。
厄除け・開運の〈かわらけ投げ〉なるものができるというので、眞島さんも開運を祈念してトライすることに。かわらけとは天下干しの土器で、投げて厄を落し、砕いて厄を払い、崖下にある直径2・5メートルの福輪を通すと願いが叶うらしい。「輪をくぐらせるのは、ちょっと難しいな」といいながらも早速挑戦。いつのまにか周囲にギャラリーが集まり「あっ、おしい」との声が上がる。残念ながら輪を通すことはできなかったが、投げるだけでも厄落しである。鐘楼の鐘は誰でもつくことができる。眞島さんも心静かに鐘をつく。「ゴーン」と余韻のある鐘の音は心にしみいるありがたい音がした。大山詣での帰路は、江の島の弁財天に詣でて精進落しをするのが江戸庶民たちの主流であった。両方参詣しないと片参りといって忌んだという。

雨降山 大山寺
通称〝大山のお不動さん〟と親しまれ、関東三大不動の一つに数えられる。文永年間に鋳造された本尊鉄鋳不動明王と二童子像は国の重要文化財に指定されている。かわらけ投げの土器は2枚300円、鐘つきは200円。
〔住〕伊勢原市大山724 〔問〕0463-95-2011