ベルギー映画『Playground/校庭』は、どこにでもありそうな⼩学校の敷地内に舞台を限定し、全編を主⼈公である7歳の少⼥の視点で紡ぎ上げた⽣粋の“学校”映画だ。第94回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストへの選出を果たした。

72分の本作は、初登校の日を迎えた主人公ノラが兄のアベルに抱かれて泣きじゃくっているファースト・ショットから、観る者の目を釘付けにする。内気なノラにとって見知らぬ子供たちがあちこちで叫び声を上げ、無闇に走り回っている学校は、到底なじめない場所だった。その未知なる混乱のまっただ中に投げ出されたノラは、どうやって友だちを見つけ、集団生活に馴染んでいくのか。しかも他者との関係を育む過程においては、同級生に残酷なことを言われたり、ふとしたことで仲間外れにされることもある。「この作品の目的は、イジメの原因を追及することではない。誰かを非難することでもない」。そう語るローラ・ワンデル監督は、社会の縮図でもある学校をあたかも戦場のように描き、そこでサバイブするためにはもう純真無垢ではいられない子供たちの葛藤と恐怖、そして幾多の苦難の果てに変化、成長を遂げていく姿を映し出した。


子どもたちにとって、学校は家族以外で初めて他者との関わり⽅を学ぶ場所である。7歳の少女ノラが小学校に⼊学し、社会に溶け込むこと、コミュニティーの中で⾃分の居場所を⾒つけることなど、あらゆる社会的問題に直⾯する最初の瞬間が⾒られる。これは⼈として当たり前のことで、誰もが協調し、認められる必要があるが、世界の紛争の多くは、この問題に関連していると、ローラ・ワンデル監督は語る。校庭で起きていることは、世界中の社会におけるさまざまな出来事を反映しているのだと。
ノラを演じたのは、本作が俳優デビューとなる、マヤ・ヴァンダーク。撮影当時7歳ながらもその圧巻の演技で世界の映画祭で絶賛され、21 年には、〈なら国際映画祭〉で俳優賞を受賞し、本国アカデミー賞で新⼈賞を受賞した。「子どもにかかわる全ての大人が観るべき映画」である。
『Playground/校庭』
2025年3月7日(金)、新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座他全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:playground-movie.com
『Playground/校庭』トークイベント付特別試写会
日時:2月27日(木)18:00開場 18:30開映(上映時間:72分)
上映後にゲストによるトークショーを予定しています。20:30頃終了予定
開場:エスパス・イマージュ(新宿区市谷舟河原町15 東京日仏学院内)
ご招待:5組10名様
応募〆切:2月19日(水)12:00迄
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