エコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治(1886―1968)。乳白色の下地に描いた特徴ある絵画で世界に知られ、そのアイコニックな風貌と相俟ってメディアを賑わせた時代の寵児だった。「私としても私程又肖像を写された人も多くはあるまいと思ふ程カメラを向けられた。」と自認するほど。《絵画と写真につくられた画家》のプロセスを追う第一章によれば、何とそれは極東からパリへやってきた無名の画家が世界の第一線に躍り出るために講じた、巧みな「メディア戦略」であり「セルフブランディング」だった。
多くの画家がそうであるように藤田もまた絵画制作に写真の活用を試みた。旅先ではスケッチの代わりに写真を使い、世界のあらゆる風景や人々の姿を写真に収めていた。第二章《写真がつくる絵画》では、それらの素材を絵画作品として生まれ変わらせたプロセスを検証している。
藤田はいくつかのカメラを所有し、生涯にわたって数千点の写真を残している。本展の第三章《画家がつくる写真》では、日本とフランスに遺された数千枚の写真資料の中から優れた写真を厳選、〝写真家・フジタ〟の感性を知る手がかりを探っている。
描くこと、そして撮ること、ふたつの行為を行き来したアーティスト・藤田嗣治の〈眼の軌跡〉を追い、これまでにない魅力が紹介される。


藤田嗣治 絵画と写真
会期:2025年7月5日(土)~8月31日(日)
会場:東京ステーションギャラリー(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
開館時間:10:00~18:00(金曜日~20:00) *入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(ただし7/21、8/1、8/25は開館)、7/22(火)、8/12(火)
入館料:一般1,500円、高校・大学生1,300円、中学生以下無料
お問い合わせ:03-3212-2763
HP:https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
観賞券プレゼント:5組10名様
応募〆切:6月30日(月)