イタリア最高峰の「ストレーガ賞」を受賞するなど、イタリア文学界を代表する巨匠チェーザレ・パヴェーゼが、I940年に執筆し、長く読み継がれて来た代表作「美しい夏」が遂に映画化され、2025年8月1日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA 、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開となる。
繊細な映像美と情緒的な語り口で知られるイタリアの女性監督ラウラ・ルケッティが、自身が若い頃に出会って以来、心に刻まれてきた傑作小説を、物語のベースはそのままに、現代の観客がより親近感をもとるような感覚・感性を各登場人物に吹き込んで翻案し、青春の輝きと残酷さを見事に捉えた瑞々しい作品を生み出した。
1938年、田舎からトリノに出て来て、お針子として洋裁店で働く16歳の少女ジーニアは、3つ年上の美しく自由なアメーリアと出会う。画家のモデルをする彼女によって芸術家たちが集う新たな世界への扉を開かれ、ジーニアは大人の階段を上り始めるのだが一。
周囲の目を惹き付けずにおかない官能的なアメーリアへの憧れと嫉妬、アメーリアに紹介された青年画家グイードへの思い、それは本当の恋か、まだ知らぬ恋と性愛への憧れか。
初恋の期待と不安、興味と嫌悪感が混じり合う性の目覚め、アイデンティティやセクシュアリティの揺らぎと戸惑い、都会の孤独と華やかな人生への憧れなど……。そんな青春の輝きと痛みが、16歳の少女の目を通して繊細で美しく、かつリアルな情感を伴って描き出されていく。果たしてジーニアが掴み取る人生、恋、アイデンティティ、自分自身の幸せとは一。第2次世界大戦が始まる直前のイタリア・トリノを舞台に、傷つきながらも真実の愛と人生を模索する二人の女性の物語である。
第77回ロカルノ国際映画祭のピアッツァ・グランデ部門に出品、また「イタリア映画祭2024」で上映された本作は、パヴェーゼ作品の映画化ということでイタリア映画ファンの関心を呼び、多くの観客を魅了した。とりわけ話題をさらったのは、思春期から大人へと一歩踏み出す微妙な感情を繊細に表現した主演の美しい女優二人である。



『美しい夏』
2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
©2023 Kino Produzioni, 9.99 Films
配給:ミモザフィルムズ